単発短編 | ナノ


▽ パンツ・パニック☆


※ギャグです。



紳士たるもの、見えない場所にも気を使わねばならん。


特にアンダーウェアーは重要であろう。



着心地、デザイン性、そして、そして……フィット感。
最高の一枚に出逢えた瞬間、それはまさに、初恋のようなときめきがある。


沢山の下着の山の中から、オンリーワンを探し当てた瞬間……それは、ゴールドラッシュ時代、金脈を掘り当てたならず者の喜びに勝るのではないだろうか。


そう断言するということは、我輩は所持しているのだ。いわゆる、「運命の相手」である、「最高の一枚」を。


お見せできないのが残念である。


我輩がこの下着を気に入った一番の理由…それは着心地であろう。まさに、「着けていることを忘れるかのような一体感」なのだ。それでいてしめつけも適度。強すぎず…弱すぎずといったところか。

そして次に通気性。クール・ビズだかなんだか知らんが、今年はアンダーウェア―も通気性を重視されているものが流行りそうですぞ。
流行を先取り、ですな。このレースの縁取りがなんとも……。


しかもスラックスを履いた際、下着の線が出ない。
我輩は普段は、ローブを羽織っておるし、上着も丈が長いものを着用しているが、上着を脱ぐこともあるのでな。
紳士は、見えないところまで気を使うのが基本だ。


癖になるこの下着は、「メイド・イン・ジャパン」なのだ。イギリスではなかなか手に入らぬ品である。
マダムマルキンの店で一点だけ取り扱っていた品を我輩がゲットしたのだぞ。

なに?色を知りたいのかね?


仕方ないな……では教えるが、この下着の色は………





*****





「……で?」

「……………」

「このような悪ふざけを何故したのか、是非お聞かせ願いたいですな…Ms,カンザキ……」




地下室に呼び出されたレイ・カンザキは、スネイプに詰め寄られていた。

先程の文章は、彼女が羊皮紙に書いたものであり、うっかり落としたその羊皮紙が双子の手に渡り、学校中にばらまかれたのである。

当然、大騒ぎになった。
まさか本人が書いたものではなかろうが、スネイプの下着について、これほど詳細に書かれているのなら、おそらく…書いた本人がスネイプの下着を見たのではないかと想像する生徒が大勢おり、憶測が噂を呼んだ。

おまけに、筆跡から犯人はすぐにばれてしまったのだ。

そう、グリフィンドール生の日本人であるレイ・カンザキが犯人だと。



スネイプの怒りは凄まじかった。それはそうだろう。
あんな文章を書かれ、おまけに全校生徒に内容を知られたのである。

額に青筋が何本も立っていた。懲罰どころではすまなそうな雰囲気である。
死の呪文が飛んできそうな予感がしそうなほど、スネイプは怒っている様子だった。



「だって…」

「だって?」

口答えするのかね、と言い返しかけたスネイプの声に覆いかぶさるように、レイが言ったその一言は、スネイプの思考を停止させた。



「だって気になるんだもんッ!」


「………は?」





教師の下着が気になるとはこれいかに。



目がテンになっているスネイプ。

そんなスネイプに向かって、レイは瞳をキラキラさせながらとんでもないことを言ってきた。




「スネイプ先生ってミステリアスだし…大人の男の人だしっ!やっぱ気になっちゃって。
私としては、スタンダードに白いブリーフかなって思ってたけど、しもべ妖精から仕入れた情報では白くなかったし、確か…レースがあったとかなんとか行ってたから止まんなくなって!
そんな下着を履いちゃうなんて先生ってオ・ト・ナですねっ!やっぱりセクシーさが大切ですか?レースなんて…レースなんて……きゃーっ!!」


「お、おい…」


「脱いでも凄いってことですか?!我輩、脱いでもすごいのだぞ…なんて凄すぎないですかッ!!スリザリン万歳!!」


「我輩は脱がんぞ!カンザキ、落ち着け―――」


「そんなこと言いながら今だってその下着を履いてるんでしょ―――」


「ば、馬鹿者!」


「スネイプ先生顔あか〜い!かわいい♪」


「か、かわっ……?」


この歳で、そしてこの容姿で、そんな台詞を言われるとは思っていなかったスネイプは完全にレイに負けていた。


「いいなぁ………私もスリザリンだったらな…」


「?」


「スリザリンだったら…」


「だったら?」


驚きながらも何故か聞いてしまうスネイプだったが。
次の台詞にスネイプは思わずのけぞった。



「毎日セクハラ・夜這いし放題なのにッ!!」


「な…ッ……せ…せく………よ……よばい…?」


目を白黒させるスネイプ。


とても羨ましそうな顔をしていたレイは、最後にいたずらっぽい顔で笑うとスネイプに言った。


「でもいいです。だって……私、コレ持ってるから!」


そう言って彼女がポケットからチラリと見せたモノを見て、スネイプの目は有り得ないほど見開かれた。


「!!なぜおまえがそれを持っている――」


「私の宝物です!」


満足げに笑う少女が持っているモノはなんと――――スネイプのパンツだった。





*****



この後、ホグワーツ中が引っくり返るような二人の追いかけっこが始まるのでした…。




(せんせぇ…ッ……もぉ……しつこい…!)

(当たり前だ…ッ……すぐに返せ……さもないと…)

(ふぉっふおっ……セブルスは凄い下着を履いておるのじゃなぁ。どれ、ワシの勝負下着も―――)

(アルバス、今ここで見せたら……わたくしが制裁を加えますよ?)

(ミネルバ……やっちゃってくださいな…医務室は空いておりますわ)


(H24,05,11)


prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -