単発短編 | ナノ


▽ 当たって砕けろ!





スネイプ先生が命の私、レイ・カンザキは決心しました!

諦めるなんて出来ないの。女なら、当たって砕けるのみよ!!





「スネイプせんせー…」


「グリフィンドールから5点減点」


「ひどい!話しかけただけなのに」


「授業中の私語は禁止だ」


「うう…」



…駄目だったか。敵もさるもの。授業中なら、逃げられないと思ったのに…ッ

仕方ない。こうなったら放課後こっそりと先生のお部屋に行っちゃうもんね!


ムフフ、と笑いながら鍋をかき混ぜる私に、災難が降りかかるのは数分後だった。





*****




最近のカンザキにはほとほと困り果てている。

我輩の顔を見れば、やれ、好きだの愛しているだの……場所をわきまえずうるさい事この上ない。

ダンブルドア校長は我輩の災難を面白そうに眺めるしまつである。校長だとてグリフィンドール寮出身であろう。少しは注意していただきたいのですがね。カンザキに発破をかける始末なので、どうにもならんのだ。

マクゴナガルまでグルになってあーだこーだと…。


「あんなに可愛い子に想ってもらえるなんてもう一生ないかもしれませんよ?セブルス……素直になりなさい」


「冷静に考えて下さい。我輩は教師。相手は生徒ですぞ。しかもまだ未成年だ」


「恋に障害はつきものでしょうセブルス」


やってられん。マクゴナガルの頭は湧いているのか…?




我輩のパンツをこっそりと入手するような生徒だ。双子のようにイタズラをしているのだろう。
我輩をからかって楽しいのだろうか。楽しいのだろうな。


「実に不愉快だ」


授業中であっても、イタズラを止めようとしないカンザキを減点する。放課後、カンザキが我輩の部屋にやって来た時には、盛大に減点&罰則を与えよう。どんな罰則が良いのか考えていたその時、教室に悲鳴が響き渡った。



「きゃー!スネイプ先生!!レイが……!!」




!!





*****





気が付くと、ベッドに寝かされていた。シーツからは、薬草の香りがする。ここ、自分のベッドじゃないみたい…。
ふらふらする頭で、なんとか起き上がる。ここ…どこ?


ふらつきながら、立ち上がり歩き出した私は、扉を開いた。するとそこにいたのは―――こちらに背を向けながら調合をしているスネイプ先生…?


やだ〜後姿もカッコイイ!!



きゅぅ〜んとときめきが駆け抜けた。ちゃんすよレイ!女は度胸!!



「スネイプせんせー!!」


私はふらつく身体をなんとか制御して、ダッシュでスネイプ先生に突進した。



「ふぐぉッ」


「せんせー大好きです〜!!」


ダッシュしながら先生の腰に思いっきり抱きついちゃったけど、どうして変な声が聞こえたんだろう…と思って先生の顔を見たら。

先生、暖炉の上に置いてある置物に顔が直撃してた。




「あ、あの……せ、せんせい…?」


「………貴様は状況を把握しないのかね!」


ベリっと私の身体を引きはがしたスネイプ先生の鼻は、真っ赤になっていた。
赤鼻のスネイプ……トナカイみたいで可愛い!!

って思ってたら心の声が外に出ちゃってたみたい。思わず口に出してしまっていた。
スネイプ先生の額に、青筋が……!


「遺言があるなら聞いてやろう…」


いつの間にか杖を構えるスネイプ先生に、私は速攻で謝った。


「わー!ごめんなさぃ……」

「フン!」





*****




その後先生は杖を振ると私を浮遊呪文で座らせた(かなりビビった。殺されるかと一瞬思った)。私はきょろきょろと辺りを見まわす――ってここってひょっとして――、


「我輩の私室だ。貴様……憶えていないのか?」


はて?なにをですか?


きょとんとする私に、スネイプ先生は盛大な溜息をついた。



「カンザキ、お前の適当な調合が、事故を起こしたのだ。幸いにも被害者はお前だけだったが…」


げ。まじか。

私、そういえば…適当に調合しちゃってたかも知れない。だって…ずっとスネイプ先生のことばっかり考えていたから…。


「ポンプリーの奴、『医務室は一杯ですわ』などと見え透いた嘘を付きおって……アレはどうみてもくっつけようとしているのに違いない…」


「くっつける?何を、ですか?」


先生がブツブツと何か言ってるよ?
ふしぎ〜と思ったので聞き返したら、先生は何故か盛大に咳払いをしだした。


「げふんごほん…ッ……カンザキ、き…貴様が気にすることではない!」


先生はそう言うと、鍋の中の液体をゴブレットに移し、それを私の手に押し付けてきた。


「とにかく飲め。飲まんとここを出さんぞ」


「それだったら一生飲みたくない――ひぃぃ飲みますッ!」


杖を構えないでよ先生!怖いんだからね!大好きだけど…怖いんだから。




先生に見守られながら(見張られながら?)飲んだお薬は、とても苦いはずなのに……何故か甘く感じられたのでした。




(何故か学校全体が束になって我輩とカンザキをくっつけようとしているような気がしてならん…)

(ってことはさっきまで私が寝ていたベッドって……先生のベッド?!やーんもっと匂い嗅いでくるんだった!)


(H24.06.03)

*****


この主人公、変態すぎませんかね……?


prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -