▽ ある昼食時の攻防
この間、やっとのことで手に入れたスネイプ先生のパンツは没収されてしまった。
私の宝物だったのに……。
無念だけれど、仕方がない。
あのパンツのおかげで、スネイプ先生に追いかけてもらえたし、腕を掴まれて、ウエストに手まで廻されたもの。
遠くから見つめているだけでは、とてもあんなことされないし、ね。
*****
私の名前は、レイ・カンザキ。グリフィンドールの4年生。
好きな教科は魔法薬学。好きな色は黒。
そして……、好きな先生はスネイプ先生。
私が、初めて好きになった人……。
先生に一日でも逢えないと私の元気ゲージは0になってしまう。それくらい好き!
同級生は、私のこの想いをわかってくれない。
皆、趣味が悪いとか…悪いモノでも食べたんだろうとか、スネイプに闇の魔術をかけられたのかとか、ひどいことばかり言うの。
違うのに!
スネイプ先生はカッコイイでしょ!
だって、あのローブを見てみて。あんなに優雅にはためくローブはないよ?
先生の声って、すごく低くて、甘くて……とろけちゃいそうな声だし。
あの声で……愛の言葉を囁かれたりしたら、私、爆発しちゃうかもしれない。
きゃー!なんか興奮してきた…ッ
それに…それにね?
手が、凄く大きいし、指先が長いの。
あの指で触れられたりしたら……あ〜んその先は言わせないで…!!
*****
「もう勘弁してよ……」
友人のグリフィンドール生が青ざめた顔をしているのに、レイは完全無視をし、スネイプへの愛を言いまくっていた。
大広間で………。
「ふぉっふぉっふぉっ……セブルスよ、モテモテじゃの〜うらやましいのぉ…」
目をキラキラしながらスネイプを見つめるダンブルドアに、スネイプは目を伏せ、スープを啜ると言った。
「校長。羨ましいのならば、いつでも立場を譲りますぞ……」
「セブルスはわかっておらんようじゃのー」
スネイプの言葉に、嘆かわしい、という顔をするダンブルドア。
隣にいるマクゴナガルやマダム・ポンプリー、フリットウィックも大きく頷く。
スープ皿から顔を上げたスネイプはダンブルドアを見た。
「あの子にとっては代わりなどおらんのじゃ。唯一無二の存在なのじゃからのぉ」
「唯一無二の存在…?」
「そうじゃ」
「我輩が?」
眉を潜めるスネイプに、ダンブルドアは言った。
「セブルスのパンツを大切に保管するほど、彼女は、君のことが好きなんじゃ」
「それは変態というのでは?」
「愛があれば大丈夫じゃ☆」
ウィンクをしてくるダンブルドアに、げっそりするスネイプ。
「我輩に愛はありませんが。そのような場合は“大丈夫”ではないのではないかと…」
「そうかの?セブルス…君は気が付いているのかのぉ」
「なんでしょう」
「君のサラダが無残なことになっておるが」
楽しそうなダンブルドアの言葉に、スネイプはサラダに目をやった。
するとそこには――――ぐちゃぐちゃにかき混ぜられたサラダが散乱していた。トマトなど、原型をとどめていない。
「な…ッ?」
「ほっほ〜……熱いのぉ!そんなに集中して、あの子の愛の言葉を聞いていたんじゃの〜……アツアツじゃなー」
「ち、違います!我輩は断じて―――」
「顔が赤いようじゃぞ、セブルス♪」
「これは校長が変なことを言うからで――」
からかうダンブルドアに、精一杯抵抗するスネイプ。
グリフィンドール席と同様、教員席もにぎやかな昼食と相成ったのでありました。
(違う!我輩は断じて…あのような変態のことなど欠片も思ってはおらん――)
(否定しすぎじゃの〜……怪しいッ!)
(怪しくありません!!)
(((((いや怪しいだろ(じゃろ))))))
(H24,05,30)
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最後の言葉は昼食の席にいた全教授陣(マクゴナガル、ダンブルドア、マダム・ポンプリー、フリットウィック)の声です。
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