▼ 私の王子様
私の名前はラベンダー・ブラウン。グリフィンドールの2年生よ。
ハーマイオニーと同室で、ごくごく普通の女の子。
ここ、ホグワーツに入学して、友達も沢山できて、毎日とっても充実した日々を過ごしていたのだけど…そこで、私ったら運命的な出会いをしてしまったの!!
ああ、彼の輝く黒髪……とってもサラサラなの。そして神秘的な黒い瞳…少し切れ上がった大きな目なのよ?そしてそして、笑うととっても魅力的なの。
素敵な彼の名前はカンザキレイ。日本からやって来た男の子なの。組み分けの時に始めて見たのだけど、私ったら目が離せなかったわ。
それって私が始めて恋に落ちた瞬間だったの。
ああ……レイ……私の王子様…(うっとり)。
彼はとっても優しくって、とっても勇敢な人。
ネビル・ロングボトムを何度も窮地から救ってあげていたわ。魔法薬の授業では身を挺してかばったり、飛行術の授業では初めて箒に乗るのにすばらしい箒さばきでネビルを助けていたっけ……私は心配でハラハラしながら、興奮でドキドキもする胸を押さえつけるのが大変だったわ。
あの時、ネビルを助ける彼を見てさらに崇拝するファンが増えたのよね?
まずいわよ!ライバルが沢山いるんだから!このままじゃやばいわ、誰かにレイを取られちゃう…!!
焦った私は必死でどうしたら良いかを考えたの。私が告白したって振られるのがおち。それじゃあ、どうしたらいいか?
一晩悩んで私は答えに気づいたの。そうよ!アイドル化しちゃえばいいんだってことに。
そう、アイドルとは――――
1偶像
2崇拝される人や物
3あこがれの的。熱狂的なファンを持つ人 (Byウェブ辞典より)
そうよ!崇拝しちゃえば、抜け駆けしないようにしちゃえば安心よね。王子様みたいにね?
そうそう、そうしちゃえば彼は誰の物にもならないわよね…私って頭良いわ〜!
そうと決まれば善は急げよ!私はこっそりとふくろう便を使い、入会希望者を募ったわけ。そしたら本当に驚いたわぁ。何とグリフィンドール以外の寮からも入会希望があったのよ。あの、スリザリンからもよ?
レイったら、本当に凄い人気だわ。これじゃあマグル世界での俳優とか歌手とかも形無しよ、ホント。
そんなわけで、レイのファンクラブ“レイ様を称える会”もとい、“レイ様王子化プロジェクト”は幕を開けたのでありました!!
会長はもちろん私ことラベンダー・ブラウン。そして副会長にはスリザリンのローラ・メンデスが選ばれたの。
会員には会員証と、レイの生写真が配られたわ。この生写真、これが本当に大変だったの。
何とかコリンを抱き込んで、隠し撮りをしてもらったんだけど…コリンを抱き込むのが大変だったわ…。
まあ、コリンはハリーのファンだったみたいだから、交換条件として、ハリーの私物が欲しいって言ってたから、それをくすねるのが大変だったのよ。
そこで私はハリーの友達であり私の同室でもあるハーマイオニー・グレンジャーに相談したわけ。そうしたら彼女もこのクラブに入りたいって言うじゃないの!
あなたはレイの友達じゃないの!クラブに入らなくたっていいでしょうに…と私は言ったのだけど、彼女ったら彼の写真が欲しいんですって。
へぇ〜意外。ハーマイオニーもレイを狙ってるのかしら?妖しいわね!
でもハリーの私物を手に入れるにはハーマイオニーの強力が不可欠。だからしょうがないわね、って感じで入会を許可したわ。
ま、そのお陰でハリーの私物である羽ペンをゲットできたのだけど。(それは犯罪です!:作者)
コリンへその羽ペンを渡したら上機嫌でレイの写真を撮ってくれたわ。なんと3ショットもよ?
真剣に読書をしているレイ。
憂鬱そうに授業を受けているレイ。
友達とふざけあっているレイ。
どの写真も素敵なの。はぁ、うっとりしちゃう。
危険な橋を渡った甲斐があったというものだわ…。
その生写真は凄い人気だったの。本当はもっとコリンに撮って貰いたかったのだけど…彼ったら石になっちゃったのよね…。まぁ、死んだわけではないみたいだから、復活したら頼むつもりよ。
クラブの活動としては、今後は彼の誕生日を祝ったり、クリスマスなどのイベント毎にプレゼントを渡そうと思っているんだけど……彼ったら秘密が多いのよね。誕生日すらわからないのよ…。
それに、彼の好きなものって何かしら?これは、リサーチしなきゃ、だわね!
これから、ローラと作戦会議があるのよ。彼から直接聞くのは最後の手段だから、まずは彼と親しい友達から聞いてみるつもりよ。
だって、大好きな人のことは全て知りたいものよね。
だから、ああだから、やじうまだなんて言わないで。
ただあなたのことが知りたいの。ただ、それだけなのよ。この乙女心、わかってくれるかしら?
ねえ、レイ……私の王子様…。
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