短編 | ナノ


▼ 幸せな気持ち




ぬくもりに包まれて、私は目覚める。


とても幸せな気分。こんな満たされた気分は、初めてかもしれない……。
私は幸福な気分で、目を開けた。


私ったら、教授に抱きしめられてる。ああ、このぬくもりはあなただったんだ……。
教授ったら、ぐっすり眠ってるよ?服は着ているけど、ちょっとはだけてる……あ、あのボタンを外したのは、きっと私かも。教授の首に残る、キス・マークは、きっと、私がしたんだ……。

衝動のままに行動したとはいえ、大胆なことをしてしまった。

私はそのキス・マークを見て、昨日の激しすぎる一夜を思い出し、一人で赤くなってしまった。
だって、教授、ホントに凄いんだもん。昨日は本当に最後までされちゃうかと思ったよ。
朝日を浴びて教授の髪がきらきらと輝いてる。本当にきれい……。教授って、睫長いんだ。新しい発見かも。
いつもはこんなに近くで顔なんて見れないもんね?目力が凄くって。
私は眠る教授をじっと見つめた。愛しさが溢れてくる。

ああ、教授、私、あなたがだいすき……。
あなたといるだけで、こんなに幸せになれる。私は我慢できず、教授にぴったりと擦り寄った。


ずっと、ずっとこうしていたいよ……。
幸せに満たされて私はまどろむ。ああ、私今、本当に幸せ…よ…?




*****




ぬくもりに包まれて、我輩は目覚める。


とても幸福な気分だ。こんな満たされた気分は、初めてかもしれない……。
我輩は幸福な気分に包まれ、目を開けた。

我輩は、レイに抱きしめられていた。
ああ、このぬくもりはレイ、お前だったのか。

レイは、ぐっすりと眠っておる。お前ときたら、服はほとんどはだけており、シャツを申し訳程度に羽織っているだけだ。そのようなあられもない格好にしたのは、我輩なのだが…。レイの首筋や胸に散らしたキス・マークが、昨日の激しすぎる一夜を思い出させた。
抑えられない衝動のままに行動したとはいえ、よく我慢できたものだ。我輩は自分に関心してしまった。

昨日は危なかった。本当にもう少しで、お前を最後まで愛してしまいそうになってしまった。

お前が可愛すぎるからいけないのだ。我輩は眠るレイの頬をそっと撫でた。するとお前は眉根を寄せ、我輩にさらに擦り寄ってきた。
なんと、可愛いしぐさなのだろう。我輩の胸は愛しさで溢れた。

朝日を浴びて輝くお前の髪。我輩と同じ黒い色をしているのに、その髪はサラサラと流れるようで、本当に美しい。閉じられた瞼に、昨日流した涙の痕が見える。
昨日、あまりの快感に泣き出してしまったのだ。さすがにやりすぎたな、すまぬ。我輩はレイに心で詫びると、瞼をそっとなぞった。

綺麗な形の唇…。昨日はその唇に何度も何度もキスをした。
我輩は愛しさのあまり、お前の唇をそっとなぞった。なんて柔らかいのだろう…。そして我輩を無意識に誘っている。我輩は思わず、眠っているお前を襲ってしまいそうになってしまう。
いや、それはさすがにまずいであろう。オトナとしては、誘惑に負けてはいけない。


いつもは、こんな朝日を浴びてお前の顔をまじまじと見ることなどかなわぬ。我輩の部屋は地下室であるゆえ、な。
我輩達の関係は皆には秘密…。誰にも悟られてはならない。気をつけなければならないのだ。

だが、その背徳感がさらに我輩達の関係を燃え上がらせるのであろう。

このような太陽の下で愛し合うことなど、本来ならば危険なことなのだろうが……昨日は我を忘れてしまった。
このままいけば今日も朝食を食べ損ねてしまうだろう。だが、食事よりも今はお前といたい。
我輩は眠るお前をさらに抱き寄せた。
ああ、我輩は本当にレイ、お前にやられてしまった。お前が愛しくてどうしようもない…。
レイ、お前といるだけで、こんなに幸せになれる。


ずっと、ずっとこうしていたい。
幸せに満たされた我輩はまどろむ。ああ、我輩は今、本当に幸せ…だ…。



寝過ごした二人が目を覚ますのはもう少し後になってから。
それはそれは、幸せな朝のお話……。


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