短編 | ナノ


▼ オトナが好きな服装

※このお話は短編“夢中にさせて”の続きのお話になります。



ある日、私の制服がなくなってしまった。溶けてしまったのだ。
ホントに文字通り溶けてなくなってしまったのだ。あのいたずら双子のせいで。

幸いにも次の日が休みの日だったので、ダイアゴン横丁に行って制服をもう一度採寸することになった。
学期中にダイアゴン横丁に行けるのは特例らしいけど。校長が特別に許可してくれたみたい。まあ制服がないと話しにならないよね。
教授も一緒に同行してくれることになった。

う〜ん、これってばケガの功名って言うんだろうか。何だか違うような感じもするけど、教授とお出かけできるなんて貴重なのだ。素直に嬉しい。
嬉しいんだけど、昨日のこともあって私はちょっと恥ずかしかった。

だって何か、すごく教授の愛撫に感じちゃって…。

凄くやらしいんだもん教授ってば。愛撫の最中に卑猥な言葉を囁いてくるし。
新学期になってから会える機会が減ってはいるんだけど、イチャイチャする回数は増えているような気がしますよ?

まあ、それに応えてる私も私ですけど…だって大好きなんだもん!仕方ないでしょ…。
教授が私にキスしてきたり、愛し合ったりする時は、凄く恥ずかしくってどうしようかと思うけど……ホント、ここだけの話、大好きな人にされることなんだもん、嫌じゃない。むしろ、もっとして欲しいって思っちゃう。

私がそんないけないことを考えてるなんて教授にばれたら大変だよね?
この気持ちは秘密にしなきゃ。




教授のお部屋で待ち合わせをしているので、私は朝食の後に支度をすませて教授の部屋へ向かった。
ハリーや皆は私の制服が溶けてしまったことを知らない。だって言ってないもんね。何故かって言うと溶けた後どうしたのかって言うことをつっこまれると非常に困るからです。
まさか教授の部屋でイチャイチャしていたなんて言えないし…。どこからバレるかわかんないもんね。
私と教授の関係は皆に秘密だもん。


教授の部屋に行くと教授も既に支度を済ませていたみたい。
教授ったら授業の時と同じ格好をしてる。何枚同じ服を持ってるんだろうって話ですよ。前にクローゼットを勝手に覗いた事があったけどあれは驚きだった。だってずらーっと同じような服だよ?同じデサイン、同じ色の。
着たきり雀みたいに同じ服装をしなくたっていいのに。もっと格好良い教授に似合う服があるだろうにな。
教授ったら背が高いし、きっと違う格好をしたら物凄くもてそうだけど。
いやいや勿論今の格好だって十分に格好良いよ?だけどさ…。恋人としましては気になりますでしょう?
マダム・マルキンにこっそり相談してみようかな…?

「何を見ているのだね?」

教授が訝しげに聞いてくる。

「何でもないですよぅ。セブルス、お待たせしました!」

私はそう言うと、教授の元へと向かった。




教授の姿現し術でダイアゴン横丁へ行くと、まっすぐにマダム・マルキンの店へ向かった。
店のドアを開けると、店は空いていたようで、私達の他にお客さんはいなかった。マダムが私の顔をみて、あら、という顔をしてる。

「あら、あなたはこの間のアジアの子じゃない。どうしたのかしら?なにか入り用でも?」

マダムが不思議そうに聞いてくる。
やっぱり普通ホグワーツの学生がこの時期にやってくるなんて珍しいことなんだよね?驚いているみたい。私は苦笑しながら、

「実はまた制服を採寸していただきたくて……」

私がそう言うとマダムはとっても驚いていた。

「今まで着ていた制服はどうしたのです?」

と聞いて来た。うーんやっぱり気になるよね、この時期に制服を採寸なんてめずらしいんだろう。私はちょっと恥ずかしかったけどマダムには事情を話しておいた。

「実はいたずらされちゃいまして…溶けちゃったんです」

私がそう言った時のマダムの顔ったら……私、一生忘れられないだろう。
教授は私が話している間何だか恥ずかしそうにしていた。教授が恥ずかしがることじゃないだろうに。
マダムは私の話を聞いた後、大いに笑い、目に涙を溜めていた。そんなに笑わなくてもいいのに…。

「わかりましたわ。では、もう一度採寸しましょう。さ、こちらへおいでなさい…」

マダムは涙を拭きながら私を促してきた。もう、恥ずかしいなぁ……。

ひとしきり採寸を終えた私は、ついでに日常着も購入しようと考えて、あちこちを物色することにした。
教授ったら、暇そうにしてる…。私が付き合せちゃったんだもんね、ごめんね?教授。もうちょっと待ってね?
私は心の中で教授に詫びながらシャツを見ていた。あ、このシャツ良いかも…。

「ね、教授。このシャツ僕に似合うかな?教授が好きな服って、どういう感じのなの?」

一応恋人の意見は聞いておきたい。さりげなく好みとかも教授に聞いてみた。私が話しかけると、教授はそのシャツを見て、

「……似合う…かどうかは分からぬが…。我輩はこちらの方が良いと思う」

教授はそう言うと、横にかかっていた青いシャツを取り出してきた。え、これシルクじゃん。高いんじゃないの?それに何か大きめだよ?

「それってシルクじゃないの?高そう…。それにサイズが合ってないような気がするよ」

私がそう言うとふいに教授はニヤリと笑ってきた。教授、目が輝いてる。
な、何?嫌な予感がしますが……。

「左様。この肌触りはまさしくシルクだな。サイズも少し……大きめのようだ。だがそれで良いのだ」

は?こんなぶかぶかのシャツを着ろってゆーのかい。色的には黒いパンツにとか合わせても似合うとは思うけど、サイズがでかすぎでしょう。
私は納得がいかなかったが、教授は私の身体にその青いシャツを当てると、

「ふむ……やはり似合うな……こちらの方がもっと良いかもしれん…」

ブツブツと独り言を言いながらクリーム色のシャツも取り出す…またもやシルクで大きめだ。
?どういうこと?大きめを着こなすというファッションなのかな?
私が頭の中をハテナで一杯にしていると、教授は一人で納得し、マダムに

「これを2枚もらおう……」

と言って試着とかしてないのに即決で購入してしまった。ってええ?教授がお金払ってる!

「ええ?教授いいですよ、自分で買いますし」

私がそう言ってるのに教授ったらちょっとニヤニヤしてる!何で?

「良いのだ…。我輩からのプレゼントだと思ってくれてかまわぬ」

はぁ、プレゼント…ですか。まあ、せっかく恋人がくれるっていうんだから貰っとこう。
私は教授の謎の笑いにとまどったが、お礼を言っておいた。あんまり断ったりしてしつこいのも機嫌を悪くさせちゃうだろうし。


そう思ったのが運のつき。
オトナの考えてることなんて私に分かる訳ないけど、まさかそういう訳だったなんて。
見事にヤラレマシタ。もう、教授ったら…。




*****




マダムの店を出ると、寄り道はせずに真っ直ぐ帰ることにした。何だか教授ってば急いでいるみたいなんだもん。きっと仕事で忙しいんだろうな。付き合わせてしまってごめんね?教授。
制服は後でふくろう便で送ってくれることになっていた。やっぱり魔法を使ったとしてもすぐにはできないらしい。
教授の洋服についてマダムに相談したかったのに、タイミングを逃してしまったな。今度、相談することにしよう。教授がいないときにでも…。


私は教授の部屋へ行くと今日の付き添いのお礼を言った。だって仕事もあるだろうに付き合ってくれたんだもんね。ありがたい。

「セブルス、今日は本当にありがとうございました!…忙しそうだから、今日はこれで帰りますね。じゃあ、またね」

教授にそう挨拶をして帰ろうと思ったら、ふいに呼び止められた。

「レイ、忘れ物だ」

教授はそう言うと、さっきマダムの店で購入してきたシャツを私に渡してきた。ああ、そういえば…。

「あ、セブルス忘れてました。ありがとうございます大事にしますね!ちゃんと着ますから」

私はそう言ってからペコリとお辞儀をして、部屋から出ようとした。すると教授が、

「レイ、似合うかどうか、今ここで着てみて欲しいのだが……」

と言ってきた。え、でも教授ってば忙しいんじゃないの?私がそう言うと教授が、

「大丈夫だ。それよりもお前がそのシャツを着た所が見たい」

と言ってきた。
そう?そんなに教授が言うんなら……。教授が買ってくれたんだし。

「じゃあ……、ちょっとだけ…」

何か恥ずかしいな。教授の部屋で着替えなんて。でもそんな期待の篭った眼差しで見つめられると嫌とは言えなくって、私は着替えることにしたのだった。



まずはクリーム色のシャツから着ることにした。色的には私には似合うけど、着てみてもやっぱりどうみても大きいよ。ぶっかぶか。私はドアを開けると教授に言った。

「セブルス、これって返品しなきゃだめですよ。大きすぎてとってもじゃないけど着られないって……セブルス?…どうしたんです?」

私が話しながら教授を見つめると、教授ってば顔をそむけてしまった。何でだろう?あんまり不恰好だったからかな?
教授は咳払いすると、

「レイ、とても、良く……似合っているが…、そのシャツは着方が違うのだ」
と言ってきた。
は?着方が違うって、シャツの着方なんて一つしかないだろうに…ってもしかして!
もしかしてそれって!

そこまで考えて私はふいに思い出した。昨日のあの恥ずかしい1日を。
教授のシャツを借りたあとのその顛末…。教授ったら凄かったっけ。
私はそこまで考えて真っ赤になってしまった。
あ、あんな風に着ろってこと?ズボンなしで?だからこんなに大きいシャツを買ってきたの?
ええ?どうしよう…。何故か一気に部屋の温度が上がったような気がする。
気づいてしまったけど…本当にそうなんだろうか?聞くのが怖いよ。でもこのままでいるわけにもいかないよね。私はとっても恥ずかしかったが、教授に聞いてみた。

「着方が違うって……ど、どうやって着るの……?」

質問はしたけど恥ずかしくってどうしようもない。教授の顔を見つめる……教授ったら、目つきが妖しげ…。
すると、教授の口からとんでもない言葉が飛び出した。

「下は脱ぎたまえ……それがそのシャツの正しい着方だ…」

やっぱり!そ、そんな〜!そういう意味で買ってきたの?教授のスケベ!!そういう意味だって気づいていたら、何としても阻止したのに!
私の顔はさらに真っ赤になったに違いない。でも、今からでも遅くないよ。何とか回避しないと!

「そ、そうなんですか〜。よっく分かりましたから…今日は教授もお忙しそうですし、またの機会にでも着させていただきます〜」

私が逃げの姿勢に入ると、教授ってばニヤリと笑って、

「残念ながらお忙しくはない。今日は特に急ぎの仕事も入っておらぬゆえ、ゆっくりできますぞ…。レイ、観念したまえ。お前がさっき言ったのだぞ、“大事に、ちゃんと着る”とな…」

うう、私の言葉の揚げ足をとるばかりでなく、そこまで計算していたとはっ…!!
侮れないぜ、スリザリン寮監…。

「そんな…そんなこと言って…僕を困らせるの…?…もう、許してよ……恥ずかしい…」

もうこうなったら泣き脅し攻撃しかない。どうか、どうか、成功しますように…。
私は目をウルウルとさせると、甘く囁いてみた。…うまくいくかな…。

すると教授はぴきーんと固まってしまった。

あ、もしかしてこれって失敗?さらに煽ったのかも……私馬鹿ですか?
私はドアの所まで思わず後ずさった。教授がゆらりと立ち上がると、あっという間に私の所までやってきた。

「レイ、本当にお前はイケナイ子だな。我輩をそのように誘惑して……もっと困らせてみたくなるではないか」

教授は私の身体を壁に押し付けると、私に迫ってきた。教授の吐息がかかるくらい。
私は自分の動悸がさらに激しくなるのを感じた。あ、きっとキスされるんだ…。
私がそう思っていたらふいに教授はクスリと笑い、

「いや…キスはまだた……さあ、レイよ、せっかく購入したのだから、正しい着方を我輩に見せるのだ…」

教授は私にそう甘く囁くと、私の首筋を人差し指でなぞり、シャツのボタンを二つほど開けてしまった。

「さあ、早くしたまえ……我輩はもう待てない…」

私の耳元で妖しく囁いてくる。
あ…そんなこと……言ったら、だめだよ。私だって、ソノ気になっちゃうんだから……。

「あ……セブ…ルス…わかりました…わかったから……お願い、目をつぶって……?」

私の顔は熱に浮かされたみたいになっているに違いない。ああ、こんなこと、どうしよう……。
教授がそっと目を閉じる…。私は教授の腕から逃れると、衝動のままにそっと、下を脱いだ……。


ああ、教授の仕掛けた罠に嵌ってしまった…。

「い…いです…セブ……」

恥ずかしくって教授の顔をまともに見られない。
教授の視線を感じる。あ、そんなに、見つめないでよ……。動悸がさらに激しくなる。
だって、だってまだ私達、口付けすらしていない。それなのにこんなに胸がどきどきしてる。これからどうなるのか…心が期待と不安に入り乱れて。


教授の息遣いが荒くなる。
何を考えてるの?教授…。
私の息遣いも荒くなる。


「ああ…レイ、完璧だ。素晴らしく艶めかしい眺めですな…」

教授ったら…教授ったら…本当にエッチなんだから…。私は凄く恥ずかしいよ…だって、だってね…。

「セブルス…もお…いいでしょ…?まだ、昼間だし…誰かに見られたら…」

私が必死で言うと教授はまた妖しく笑って、

「大丈夫だ…ここは地下室ゆえ、誰にも見られぬ…。お前のこんな姿を見られるのは、我輩だけだろう……?」

と囁いてきた。すっごくセクシーな声だった。

「…そうだよ…セブルス…だけ…だ…よ……」

そうだよ、あなただけ…。
私も甘い声で囁き返す。
教授は私を抱きしめると、激しくキスをしてきた。
ああ、ずっと待ってたの……こうやってキスをしてくれる時を。
こんな恥ずかしい格好を見せるのはあなたにだけだよ?教授…。
じらされた分、私も積極的にキスに答えてしまった。とっても素敵すぎるキスだった。私は心も身体もメロメロになってしまう。

「んんっ…!………セ…ブ……もっと……」

ああ、もっとして欲しい…。言葉の代わりに教授を激しく抱きしめる。
教授は私を抱き上げると、寝室へ向かった。私をベットに優しくそっと下ろすとまたキスをしてくる。キスをしながら教授ってば私の身体をシャツごと撫でてきた。
あ……なんか…いつもより凄く感じる……。

「ああん…なん、か……変かも……」

私が思わず呟いた。
すると教授はニヤリと笑うと、

「シルクの肌触りは官能的だ…まるでレイ、お前の肌のようだな…。まさに、お前が纏うにふさわしい…」

そんな恥ずかしくなるような台詞をさらっと言ってくるのだ。ひどく、セクシーな声で…。
ああ、そんなこと言われたら…私、とろけてしまいそう…。
教授はシャツのボタンをそっと外しながら、

「レイ、オトナの好きな服装はな…“脱がしやすく、乱しやすい服”だ。良く憶えておきたまえ……。だがレイ、我輩が一番好きなのは…何も着ていない状態ですな」

そう私に囁いてきたのだった。


あーあ、今日は教授に完敗しちゃった。
教授ったら、本当にエッチなんだから……。
でも私は、そんなあなたが大好き。

私を甘くとろかせて虜にしてくれるから…。


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