短編 | ナノ


▼ 女子の結束

※このお話は、短編“嫌い嫌いも好きのうち?!”とちょっとだけリンクしています。



珍しいものには興味がわくもの。
その珍しいものが、人で、とっても綺麗で、優しかったりするともう大変。
ちょっとでもその人に近づきたい、話をしたいって思うのよね。
本人には自覚ってまったくないみたいだけど。それがまた皆にはツボみたい。

もちろん私もね!




私こと、ハーマイオニー・グレンジャーは、グリフィンドールの二年生。

私はもともとマグル界出身だったから、ここホグワーツに来てから、色々な新しいことを体験することができて、毎日充実した日を過ごしていた。
色々な友達ができたし。魔法界の有名人ハリーや、おっちょこちょいのロン、そしてそしてレイともお友達になれた。

私がこの学校で始めてお友達になったのは同性の子じゃない。ましてやイギリス人でもなかった。レイは男の子で日本人。とっても綺麗な顔をしてて、サラサラの黒髪の子。黒い瞳がすごく綺麗なの。
そしてとても優しくって、笑うと魅力的。
初めて彼を見たのは、組み分けの時だった。凄く神秘的な感じがしたのを憶えてるわ。
私、この人と話しをしてみたい、すぐに友達になりたいって思ったのよ。
この学校に日本人が来たのは初めての事だったみたい。凄く噂になったけど、本人はまったく判っていないみたいだったわね。
レイは誰にでも優しくって、皆に公平なの。
ああ、マルフォイだけは別みたい。彼の事をからかっていつも遊んでるわ。

「彼を見ると、ついからかいたくなっちゃうんだよ」

って言って苦笑してたわね。
レイと友達になれたのは私にとってラッキーなことだったと思うわ。
本人は知らないでしょうけど、女子の間では凄い人気なのよ?あのロックハート教授なんかよりも人気があるの。
私、びっくりしたんだけど、何としもべ妖精にまで人気があるのよ?レイの食器だけすっごくピカピカに磨いてあったり、彼にだけデザートが多かったりするの。
彼ったらそんなさりげない贔屓に全く気づいていないけどね。
そういった鈍感な所も人気の秘密みたいよ?

ネビルを助けた時の素早い行動とか、優しい気遣いとか…。決して容姿だけではないレイの魅力があって、彼の大人っぽい行動や言動がまた更なるファンを増やしているみたいなの。
友達として人気が出るのは嬉しいけど、何だか、ちょっと面白くないような気がするわ。

どうしてかしら?

クリスマスにレイからプレゼントをもらった女子が何人かいて、その人たちは女子から凄く羨ましがられていたみたい。
私も貰ったわ。とっても美味しそうなクッキーと、かわいいポーチだった。ポーチの中にはコンパクトが入っていて、手紙には、

『これでもっと可愛くなってね! 大好きなハーマイオニーへ』

って書いてあったの。両親なんかそのメッセージを見て

「彼氏なのか?」

って責めるもんだから説明するのに大変だったわ。
もう、レイったら、我が家でそんな大事件になっていたなんて、知らないでしょうけど。


レイの人気があまりにも凄いので、女子の間では影で同盟までできてしまったみたい。

『レイ様を称える同盟』

って言うんだけど、彼が大好きな人はこの同盟に入ることが許されるの。
その代わり告白とかはしちゃだめ。
あくまでも彼を応援する同盟なの。要するに抜け駆けは許さないって訳。
大きな声じゃ言えないけど、実は私もこの同盟に入ってるのよ?ふふ、これは秘密よ?
この同盟の主催者はなんと私の同室のラベンダー。
彼女ったらものすごく心酔してるみたいで、コリンに写真を撮ってほしいってせがんでたわ。私にいっつも紹介しろってうるさいし。そう思うなら自分からアタックすればいいのに。
私彼女に言った事があるのよ。そうしたら彼女曰く、

「王子様は称えるからこそすばらしいのよ!」

だそうで。私にはよく解らないわ。
ロックハートの授業のあと、ラベンダーったら彼に話があるって言ってたから、抜け駆けして告白したんじゃないかって噂が流れたんだけど、違ったみたい。
何だか、誰かに操られていたみたいなの。
それが誰かはわからないけど、もしそいつが誰かわかったらただじゃ置かないわよ!女の子の恨みは恐ろしいんだから!


「あれ?ハーマイオニーってば、何してるの?」

あら、噂をすれば影、レイじゃない!

「あ、レイ!ちょっとレポートを書いていたのよ…」

そう言いつつレポートをさりげなく隠す。だって彼の事を書いているなんて知れたらえらいことよね。

「ふーん、君っていっつも勉強熱心だよね。あ、髪の毛が絡まってるよ?僕が梳かしてあげるね」

可愛い髪の毛が台無しじゃんか、とレイはそう言うと、持っていた櫛で私の髪をととのえてくれたの。
もーびっくり!レイったら自覚なさすぎよ!
私は他の生徒に睨まれたりしてるんだけど、彼はそういった視線なんて全然気にしないの。きっと気づいていないのね。
レイは私の髪を梳かしつけると、最後に何処から持ってきたのか、綺麗なピンクのリボンで私の髪にリボンをつくって結んでくれたの。
う、うれしいかも…。

「うん!やっぱり可愛い!ハーマイオニー、もっとリボンとかつければいいのに。とっても良く似合うよ?ますます可愛く見えるね」

そういってレイはにっこりと私に笑いかけてくれる。
私の顔は真っ赤になっているに違いないわ。恥ずかしさと喜びで。

あーあ。私後でラベンダーに吊るし上げられるかも。
でも今は……幸せいっぱいよ!


大好きよ、レイ。
この大好きの気持ちって、もちろん友情……なのよね?


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