短編 | ナノ


▼ じらしちゃイヤ




教授のその眼差し…。そんな瞳で見つめられたら、私の心は妖しく、騒ぎ出してしまう。ああ、そんな瞳で、私を見つめないで…。



私の両手は真っ赤なリボンで結ばれてしまっている。細そうなリボンなのに、力一杯引っ張ってもびくともしないの。
これじゃあ抵抗できないよ。教授ったら、私をプレゼントに見立ててこれから頂こうって言ってきた。本当に頂くつもりなの?
私は不安が大きかったけど、ちょっと、本当はちょっとじゃないけど、期待してしまう気持ちもあった。本当、はしたないんだけど。これでやっと、全部教授のものになれるんだって思いもあって……。

本当は、教授には元の姿で愛して欲しい。
だけど、今そんなことを言ったところでどうにもならないよね。私の元の身体、どこにあるかわからないもん。教授が私を寝室へ運ぶ間そんなことを考えていたのだった。
その考えは、大甘だってことに、後で気づくんだけどね……。
教授の…エッチ…。


教授は私をベットの上に寝かすと、私の両腕を上に上げさせた。そして杖を振ってきた。とたん、私の両腕は何かに固定されたようにピクリとも動かなくなった。
教授はニヤリと笑うと、

「両手にのみ、拘束の呪文をかけたのだ…。レイ、ロックハートと何があったのか、今日は洗いざらい吐いてもらいますぞ……」

と恐ろしいことを言ってきた。
また、白状しないとエッチなこと一杯されちゃうんだろうか…。今度は本当に最後まで、教授に愛されてしまうんだろうか。私の顔は赤くなっていると思う。胸に湧き上がる妖しいときめきで…。
教授は、そんな私を見てクッと嗤ってきた。

「レイ、まだなにもしていないのに、もう感じているのかね?お前は本当にいけない子だな…」

教授はそう言うと、私の制服のボタンをひとつ、またひとつとゆっくり、じれったくなるくらいにゆっくりと外していく。そうして、教授が私の耳元に顔を寄せてきた。ああ、キスされるんだ、きっと……。私の胸はさらにドキドキしてきた。
私の耳元ぎりぎりの所で教授はふいに動きを止めて、妖しく囁いてきた。

「レイ、キスはなしだ……。これは拷問だから、な」

教授の熱い息が私の耳にかかる。ああ、こんなに吐息がかかるほど近くにいるのに、どうしてキスしてくれないの……?
私は切なくなって教授を見つめた。教授の目が妖しく光ってる。

「今日はいくら誘惑してきても駄目だ。レイ、お前が我輩にきちんと白状しなければ、愛してやらぬ…。かわりに、そうだな…このようなことはどうだ?」

教授はそう言うと、私の制服のボタンをすべて外してしまい、シャツのボタンも外してしまった。そうして私の肌に手を這わせてくる。

「ああん……!そ……んなんじゃ…や…」

教授のやらしい手つきに感じてしまう。だけど、ひどくじれったい。
そんなんじゃ嫌…もっと、もっと強い刺激が欲しい。あなたのその唇で、その舌でいつもいつも、私のことを激しく愛してくれるのに。どうして……そんなにじらすの?
私が喘ぎ声を上げると、教授はニヤリと笑い、愛撫を止めてしまう。私は頭を振ると、教授を見つめた。
教授、目つきが普通じゃない。何だか、初めて見るかも…。ちょっと怖いかもしれない。

「レイ、お前の弱い所も、感じる場所もすべて…我輩は知っている。ソコを愛して欲しいかね?」

教授はとんでもないことを言ってきた。そ、そんなはしたないこと、言えないよ。私は恥ずかしくって教授から目を逸らす。教授はまたクスリと笑うと、

「我輩に愛して欲しければ白状したまえ……何があったのだ?」

そう言ってきた。
や、そんな大したことじゃないでしょ?ちょっと奴を丸め込んだだけだし。危険なことはなかったんだから、教授に話してもいいよね?きっと。
私はなにより教授にちゃんと愛して欲しかったので、この間のことを話すことにした。だって本当に大したことじゃないでしょ?あんなこと…。教授が私の顔を撫でてくる。いやらしい手つきで。

「あ……のね、誤解してるようだから言うけど…なんにもなかった…ああん…この間のクィデッチの…試合…で、…アイツがハリーに余計なことをしようとした…っから…何とかしようと思…って、アイツを丸め込んだだけ…だってば…。ちょっと、肩くらい触ったかもしれないけど…何にもなかった、よ…」

私が何とか白状している間、教授は私の身体をあちこち撫でてきていた。ただ、撫でるだけ。これがこんなに、じれったく感じるなんて…。
私がそう言ったら、教授はぴたりと動きを止めた。あ、信じてくれたのかな?わかってくれたのかな?
期待に胸を膨らませて教授を見たんだけど……教授、どうしてそんな顔をするんです?
その話は信じられないって顔だ。
ど、どうして〜?本当のことなのに。

「そのような話、信じられぬ…。あやつがあのような積極的な行動に出るということは、もっと何かしたのではないかね?我輩に言えない事など……」

教授、怖いよ…。だから本当の事しか言ってないってば。

「そんなことないってば……ねえ、僕がセブルスに嘘付いた事あった?ないでしょ?だからねぇ、このリボンを解いて?これじゃあ、セブルスを抱きしめられないよ……」

このままいったらさらにエスカレートしそうだったので、何とか教授を説得してみる。
教授はブツブツと何か危険な言葉を独り言のように話していたけど、不意に乱れた状態の私を見て、微笑んできた。

え……なんでそこでその微笑が……?
私は非常に嫌な予感に震えた。なんか、すごく嫌な予感がするんですが。

「そうか、攻め方が足りなかったのだな……もっと、もっと快感を与えなければ…な…」

教授は恐ろしいことをつぶやくと、私の服をはだけさせ、両手で撫でてきた。ああ、そんなことしたら…駄目だってば…。そしてさらに私の肌に舌を這わせてくる。
なんか、凄いかも。じらされた分、敏感になっていた私の肌は、いつもより凄く教授の愛撫に反応してしまう。そんなこと、教授の思う壺なのに。

「ああん……はん…嘘じゃないってばぁ……んんっ!…ホントのことだって……きゃあんっ」

「さあ、吐きたまえ……本当は何をされたのだ?このようなことをされたのでは、ないのか…?」

「そんなこと……されてないってばぁ…第一…はぁん…みんながいる、んだから、無理でしょ……んんっ!」

「本当のことを言わないと……もっとつらくなるぞ……レイ、観念したまえ」

「ふう…ん!…いや…そこ……もっとしてよ…そんなんじゃ…いや…ああん…」

「ここか?……ではそこは攻めぬ。してほしいのならば…白状するのだ…」

「だから…違うってばぁ…はあ…ッ…何にもなかったって…いってるのに…ああ…お願い…セブルス…ちゃんとしてよ……ちゃんと…んんっ!…愛して…?もっと…ちゃんと…愛してくれなきゃ…いや…ああんっ!」

教授の舌と両手が私の敏感な所を避けて這い回る。ああ…こんな拷問って。こんな…つらくって…甘美な拷問…しちゃだめ…だよ…。
だって、私どんどんいけない子になっちゃう。もっと、もっといけない子になっちゃうよ…。
教授が愛撫の手を止めてきた。私は乱れに乱れて、切ない吐息をこぼした。

「レイ、何と、艶めかしい眺めなのだ……我輩だとて…もう……我慢の限界ですぞ…」

私は思わず教授の目を見つめた。ああ、そんな瞳で見つめないで。そんな、欲望に満ちた目で私を見ないで欲しい。
もっと、もっと感じてしまうから。そうしてもっと、もっと、いけない言葉を口走ってしまうから…。
教授の手が私の肌に触れそうになる。その炎のような指先が触れる理由は、私の身体に快感を与えるためじゃない。
その指先はじらすため。今日は、私をじらすために……。

「ああんっ!…もっと…愛して…?ねえ…はぁ……ちゃんと…愛してよぉ…じゃないと…じゃないと…僕…きゃ!…だめになっちゃう……よぉ…」

「ああ、ちゃんと愛してやる……だから…本当のことを…言いたまえ……レイ」



二人の喘ぎ声とうわごとのように繰り返される愛の言葉……。
教授、私、あなたの拷問という甘美な愛撫に、どこまでも堕ちていきそう。


夜はまだ、始まったばかり。
ああ、私、一体いつまで耐えられるのかしら…?


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