3 オイシイ状況
私一体どうしちゃったの?!
私は、現実を受け入れられないでいる。
何故かというと、私の今の格好は、あの一張羅のワンピースじゃないからだ。
そう何故か…何故か……、
ホグワーツの制服。
そしてネクタイは、これまた何故かスリザリン。
……私、狡猾じゃありません。無理ですってそんな。いくらスネイプ教授の大ファンだからってそんなアナタ。
ってソコじゃないってば!
私は逸れていく意識を慌てて現実に引き戻した。そうそう、現実と向き合わなくちゃ…。
私はさっき、教授に「おそらく頭を打ったのであろう」などと言われてまっずい薬を無理やり飲ませられた。
何故か脅し文句付きで。
「全部飲まないと……我輩は…何をするかわかりませんぞ…」
速攻で飲んだ。まずいとかもうどうでもいいし。とにかく教授のその言葉に身の危険を感じた私だった。
こわっ!!
薬をあっという間に流し込んだ私を見て、教授は何故か満足げだった。そうして杖を振ると紅茶を出してくれる。
「口直しだ、飲みたまえ…」
「ありがとう…ございます……」
ありがたく紅茶を頂戴する。すっごいよ!教授が淹れてくれた紅茶だよ?もーいつ死んでもいい、私……。
そんなことを考えながら飲んだ紅茶は、茶葉の香りも豊かでとても…美味しかった。
紅茶を飲みながら考える。何故、このような状況になったかを。
私、映画の予告で見た俺様野郎の攻撃(?)で、気が付いたら此処に居たんだけど。
まず最初に俺様野郎が私を呼ぶ理由がわからない。ってかあれは映画の予告編だしね。
まさか、二次元の方から呼び出しをくらうとは。しかも目が覚めたらホグワーツとか、教授のどアップとか、制服着てるとか……萌えるんですけど。
そう、萌えるんですけど!!
もうどうでもいいや!考えるの面倒だしもう。
とにかく私は何故かトリップしたんだよね。だったらこの状態を楽しまなきゃ損ってもんだよ絶対。
うんうん、考えれば考えるほどそんな気がしてきた。
そうと決まれば行動あるのみよね!
私は美味しい紅茶を飲み干すと、教授を見つめた。
教授はいつも通りに格好良い。どうした?という目で私を見てくる。
……だからぁ、格好良いってば教授…。はあはあしちゃうから止めてよその目線はやばいっていやマジで。
脳内妄想を押し込んで、私は言った。
「教授のお薬でしっかりばっちり大全快しましたよ!もう大丈夫ですから」
「そうか…。それは良かった…」
教授はそう言うと、何故か私に近づいてきた。そして……そして……、
私は抱きしめられた。
ん?抱きしめ……抱 き し め ら れ た ?
瞬間冷凍の如く固まった私に、教授は囁いてくる。信じられない台詞を…。
「良かった…。心配したのだぞ、シズノ……」
甘い、甘い声で―――。
(H22,11,20)