22 場所をわきまえず
「スラグホーン教授は凄いんだ!僕が提案したことを―――」
教授が珍しく興奮してるよ?
この間スラグホーン教授と調合していたから、その事について放課後に聞いてみたら、教授ったら目を輝かせちゃって。さっきから止まらないの。
「うんうん、それで?」
「僕は3回ではなくて5回かきまぜてみることを提案してみた。この種の薬草は回数を増やした方がより効果が高まるんだ…」
教授、すっごい饒舌だし。
嬉しそうに話す教授のその顔。カッコイイっていうか…可愛いな。
あ〜キュンキュンする…ッ
「へ〜凄いねそれで?」
「“魔法薬学の応用”ではこの場合―――」
*****
「―――となったんだ。やっと成功した薬は、スラグホーン教授が学会に提出してくれることになったんだ…」
「へー凄いねぇ!セブの力だね!ホント凄い…尊敬しちゃうな!」
「そ、そんなことは…」
私の言葉に、恥ずかしそうな教授。あーん超可愛いッ!キュンキュンしちゃう〜。
「名前!その新しい薬に、名前付けたの?」
「いや、まだだ。承認されてからじゃないと…」
「そうなんだ〜……それにしても、ホント凄いね!セブってさ…」
「?僕が…なんだ?」
「調合凄く得意だし…将来はそういった研究職か、先生になってもいいかもね!」
ニコニコして言った私の言葉に、教授はどもりながら言い返してきた。
「ぼ、僕くらいの技術を持つ人は、沢山いるさ。教師なんて…僕には向いていない……」
「そうかなぁ…。私には、すっごく解りやすく教えてくれるじゃない。私、変身術の授業の後ね、教授に褒められたんだよ![少しは様になってきましたね、Ms,ニイザキ]って」
「それは良かったな…」
「だから私言ったの!“私には、すっごく教え方の上手な先生が付いているんですよ”って。セブのことだよ……ありがと、セブ…」
じぃっと教授を見つめながら、想いを込めてそう言ったら……教授の顔色は途端に良くなってしまう。照れてるのね?そんなあなたもすっごく素敵よ……。
「ど――どうしてそんなに僕を見つめるんだ?」
「だって………見ていたいんだもの…」
「シズノ、お前、変な奴だな……」
そんな台詞を言いながら、頬をピンクに染める教授が可愛すぎて、私は笑い声をあげてしまった。すると教授はぷいっとそっぽを向いてしまう。
「ねぇ、こっち向いて?セブ…」
「………嫌だ」
「お願い……」
「………」
「向いてくれないなら……セブがびっくりしちゃうことするよ?」
「フン…」
恥ずかしいのか、顔を逸らして、目線を決して合わせようとしない教授。そのあまりの可愛らしさに私は、つい、いたずら心を起こしてしまったの。
だって…大人になった教授は、絶対にこんな反応なんてしないだろうから。
ちゅっ
唇が触れた頬は、ほんのりと温かかった。
顔を話すと、そこには、信じられない、という顔をして頬をおさえている教授がいた。
「シズノ……お、お前―――」
教授の声がかすれている。顔は真っ赤だ。
私は笑いながら言った。
「セブ…驚いた?」
「当たり前だ馬鹿!な、なんでこんなことするんだ―――」
「だってセブが私のこと見てくれないんだもん…」
「な…ば…ッ………お前…ッ…」
教授が口をパクパクさせてるよ?あんなに動揺した教授を見たのは初めてかも!可愛いなぁ……。
「あはっ……セブがかわいい〜」
「お、男に向かって可愛いだなんて言うなッ」
「だってぇ〜…」
楽しくて嬉しくて…クスクス笑っていたら、冷静な声で突っ込まれた。
「二人とも場所を考えて下さい。イチャイチャしたいのなら別の場所でどうぞ?」
微笑みながらも目が笑っていない、レギュラス・ブラックに。
(談話室でなんてことしてるんですか貴方達は!場所をわきまえて下さい…)
(そうよねごめんなさい。今度は二人っきりの場所ですることにするわ)
(な…ッ……何を言ってるんだ馬鹿!ぼ、僕達はそんなんじゃない――)
(あんなアツアツぶりを見せつけといてよく言いますね先輩……)
(アツアツだった?)
(ええ、焦げ付きそうでしたよ)
(えーホント?嬉しいっ♪)
(嬉しいって…?シズノ……ということは…まさか……いやそんなばかな……?)
(ねーせぶぅ、何をブツブツ言ってるの?)
(!!な、なんでもない!!)
(この二人、早くくっつけばいいのに……)
(H24,04,16)