あなたに逢いたくて | ナノ


 21 透きとおる気持ち



リーマスその言葉に、私は驚いてしまった。
どうして知っているんだろう…?

驚いた顔をしていた私に、リーマスはくすっと笑ってきた。

「そんなに驚いた顔しなくてもいいのに…」

「だ、だって……」

私は俯いて、本を捲った。パラパラとページを捲る音が、静かな図書室に響く。

「そんな顔してたら、図星だってバレバレだよ?」

「………」

バレバレなのね、私の顔って。ってことは……教授にもバレてるのかしら、私のこの想い。
口元に手を当て、ハッとした顔をした私を見ると、リーマスは笑いながら言ってきた。


「スネイプは気が付いてないと思うよ?アイツ、鈍いからね…そういうことに」


事もなげにそんな台詞を言ったリーマスは、私に笑いかけてきた。

「僕が君の気持ちに気が付いたのは…」

「気が付いたのは?」

「僕も、君と同じだから…」


ど、どういう事?
ハテナって顔をした私に、リーマスはフフ、と笑うと言った。

「僕だって片想いしているからね。だからわかるんだ…君の事」

悲しげなその笑い方に、私の心はズキンと痛んだ。
だってきっと……誰の事が好きになったかわからないけど、優しい彼の事だ…きっと、想いを伝えるなんてことはしないと、出来ないと思っているだろうから。

「リーマス……」


こういう時って、何て声を掛けたらいいの?
頑張ろうってのは、ちょっと違う気がするし…。困っちゃう……。
するとリーマスは今度は肩を震わせて笑ってきた。とても、おかしそうに。


「くっくっくっ……そんな顔しないで。シズノがそんな顔することないよ」

「リーマス…」

「まぁ、シズノも頑張ってよ。スネイプはかなり鈍いだろうから…大変そうだけどね」

「……うん、それは言えるかも」

「こんな日に、君の事を一人っきりにするなんて何て奴なんだ?スネイプの奴…」

リーマスのその言葉に、私は話して聞かせた。スラグホーン教授と一緒だって事を。

「うーん…君よりも調合を選ぶなんて……スネイプらしいと言えばらしいけど…」

酷くないか?それ、と言ってきたリーマスに、私は苦笑してしまった。だって……、

「いいの」

「いいのかい?」

普通なら怒るとこだと思うけどねぇ…そう言いながら、本を読みだしたリーマスの横顔を見ながら、私は言った。

「だって…私の一方的な想いだし。告白した訳じゃないし。それに……」

「それに?」

本から私へと目線をずらしてきたリーマス。

「セブがしたいことをして欲しいの。無理強いはしたくないわ。正直に言うと、調合をしている時の彼ってとっても素敵だから、本当は一緒に行きたかったけどね」

言ってから恥ずかしくなってしまった。け、結構大胆な事言っちゃったかな?リーマスに。
けど良いよね?リーマスにはバレちゃってるみたいなんだもん、私の気持ち…。


「シズノ…君って…」

「?」

リーマスの目が真剣だ。な、なにを言われるのかしら……?
内心ドキドキしていたら、リーマスの次の台詞に思わずずっこけそうになってしまった。




「やっぱり君って…“小瓶ちゃん”だ……ジェームズ凄いや……」



(透きとおった小瓶のようにキラキラしてるんだね、君は…)
(どうしてそこでメガネ賛辞…?わけわかんない…)


(H24,04,16)



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