19 野生の勘?
私は一人、廊下を歩いていた。
今日はめずらしく教授と一緒じゃない。教授は、スラグホーン教授と一緒に、新薬を調合をするらしい。
やっぱり教授は、この時からもう教授になるべく道を歩んでいた、ということですね!
はー…才能だよね。
自分で呪文を作っちゃうくらいだもんね。並大抵の頭の良さじゃないよ。
というか…呪文って、どうやって作るんだろ?
「わかんないな…でもま、いいや!」
生活には困らないもの、と勝手に結論づけて、私は、図書室へと一人向かった。
図書室は意外と混んでいた。
大学の図書室並みに、ここの蔵書の数は半端ない。部屋でやるよりはかどるんだろう、学生達が羊皮紙を広げ、レポートを書く姿があちこちで見られていた。
私はマダムに挨拶をすると、いつもの席へと向かった。奥まった場所になって、目立たない場所――いつも、教授と一緒に座っている場所に。
「――――あ」
私は声を上げてしまう。だって私が座ろうと思っていた場所には、先客がいたから。
「やぁ、こんにちは、小瓶ちゃん。ここ、借りてるよ」
そう言って優しく微笑む人は、リーマス・ルーピンだったのです。
「…私、小瓶ちゃんって名前じゃないわ。ちゃんと、シズノ・ニイザキって名前があるもの」
私の言葉に、リーマスはクスリと笑った。
「ごめんごめん。ジェームズが君のことをそう言ってるから、僕も癖がついちゃって…隣、どうぞ」
「ジェームズって…あのメガネが?失礼しちゃうわね!……どうも」
そう言いながら、隣に座った。リーマスは微笑みながら言ってきた。
「彼なりに褒めているんだから…そんなに怒らないで」
「怒るわよ!彼に対しては……それに、あなたも同罪よ?」
羊皮紙を広げながら文句を言う私に、リーマスはきょとんとした顔をしてきた。
「僕も?」
「そうよ!」
「僕…君に何かした?」
不思議そうなリーマス。あのねぇ……。
「セブのこと、スニベルスって呼んでるでしょ!セブにはちゃんとした、素敵な名前があるのに…」
「シズノ…君って……」
「なによ」
変な事言ったら噛みついてやるから。それがたとえリーマスであったとしても、容赦しないんだから。
がるるる、と内心思っていたら、彼の口から飛び出た言葉は、私を動揺させるには十分すぎるものだった。
「君って……スネイプが好きなの?」
(H24,1,8)