11 本当の“初めまして”は…
私の顔の火照りが収まった頃、ダンブルドア校長はニコニコしながら言ってきた。
「さて…シズノ、落ち着いたかの?」
「はい、なんとか…」
そうだよ教授。キャラ完全に変わってるから!
嬉しいけど、恥ずかしいんだから。教授をチラリと見つめると、彼はニヤリと笑ってきた。
もー!!
そんな私達の無言のやり取りを見て、校長先生は笑う。ひとしきり笑うと、ふと、真面目な顔になった校長先生は、髭を撫でながら言ってきた。
「それで、シズノ、この写真を見て、ワシらの話した事が事実であると、認識してくれたかの?」
「それは…どうでしょう……」
だって合成写真かもしれないし。わかんないでしょこれだけじゃ。困ったって顔をしている私を見て、教授は溜め息を付いてきた。
「ですから校長…最初から全てを話した方が良いのではないですか?これではシズノが混乱するだけです」
「そうかの?長い話になるが……」
「構いません。知りたいんです、私…」
私は校長先生を見つめるとそう言った。教授がそんな私を見て、ちょっと心配そうな顔をしているみたい。
校長先生は髭を撫でるのを止めると、こう言った。
「では……話すとしようかの…」
そうして校長先生は語りだした。私が初めてこの世界にやって来た日のことを。
「最初に君を見つけたのはセブルスじゃ」
「教授が…?」
「うむ、湖のほとりに、倒れていたらしい。そうじゃな?セブルス…」
「はい、その通りです」
教授はそう言うと、フ、と笑ってきた。
「最初にシズノを見たとき、我輩は本当に驚いた…。言葉は通じぬし、なにしろ…だな……」
教授はそう言うと、頬をほんのりと染めてきた。
?なんで照れてるの?教授。
校長先生がフォッフォッと笑うと言った。
「初対面の相手に突然抱きつかれたら、誰だって驚くわい!」
え。私、抱きついたの?!
初対面の教授に?いや、写真を見ると学生だったはずだから…学生時代の教授に?
………それはさぞかし驚いたろうなぁ。
なにやってんだろ私。教授が可愛すぎて抑えられなかったのかな。欲望に。
ごめんね?教授……でもグッジョブ、私!!
その瞬間を妄想して鼻血が出そうになってしまう。
学セブに抱きつけるなんて……私の夢がいつか現実になる日が来るというわけですか!
いや良いよ?教授時代の彼も。
だけどですね、学生時代の教授もなかなか素敵だし…。う〜ん、将来が非常に楽しみになってしまった。
だって、それって将来私は飛ばされるってことでしょ?学セブの時代に。いつかはわからないけれど。
「そろそろ、続きを話しても良いかの……?」
しまった。妄想の世界に飛んでたよ私。
私は頷いた。涎出てないかな私。
「はい、勿論!すみません……」
校長先生はまたもや髭を撫でながら言った。
「セブルスがワシの部屋にシズノを連れてきて、ちょっとしたすったもんだの後にな、君が話したその話に、ワシらは目の玉が飛び出すかと思ったのじゃ」
「目の玉が…飛び出す…」
「そうじゃ。君がいた世界についての話、そしてワシらのこの世界が、物語として語り継がれているのだと知ったのじゃからの。君はセブルスのことを良く知っておった。誕生日も、好きな子のことも…」
校長先生がそう言うと、教授は咳払いをしてきた。どうやら恥ずかしいらしい。
「ワシのことも良く知っておったな。それで、ワシは君のことを信じることにしたんじゃ」
いくら突飛でも、信じるしかないじゃろ?と言って、校長先生はウィンクをしてきたのだった。
(H22,12,01)