ごめんな


「南、沢…さん」
「天馬!?」

南沢は飛び起きた。
月山の寮の、小さい窓の外は、東北らしい大粒の雪と共に想い人が立っていた。
「な、なんでこんな夜中に…」
まるで力尽きたようにへらっと笑って、すみませんと短く言うと、スッと消えた。
どうやら倒れたらしい。
南沢は部屋を暖かくしつつ、天馬を迎えに外へと向かった。


「起きた?」
「へぁ?!あ、南沢さん!!!えと、あの…」

目を泳がせる。
何かを隠そうとしているときの、天馬の癖だ。

「何ごまかしてんだよ。」

そういった時の天馬の顔は面白い。
何故わかったのか、という顔をまんましている。
「…南沢さんを、迎えに来たんです。」
少し遠慮がちに言う。
「やっぱり雷門には南沢さんの力が必要なんです。」

天馬の大きな目は、いろんな感情が宿っていた。
さみしさ、期待、苦しさ…
どれだけ天馬を見ていたのか、と南沢は自分でツッこむ。


「ごめんな。雷門に帰る気はない。」


驚愕の表情で見つめる天馬を背中に向け、もう一度ごめんとつぶやいた。
「南沢さん、南沢さん」

「ごめんな、天馬。ごめん」
天馬の将来のために。
自分の人生のために。
南沢は1人で考え、転向した。


「俺たちは、一緒にはいられない運命なんだ」







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