Novel

 悪戯色スケッチブック

「狩屋にいい話、もってきたんだよね」
「へー」
「輝がね一緒にお絵かきしよって」
「あー行く行く」

これといって何もない日。
俺は1人でによによしていた。

(俺は輝くん家に行った事あるんだよーと)

天馬くんは俺が本当に輝くん家に行った事を知らない。
だから、何というか、優越感というか。
自分がによによしている自覚がある。気持ち悪くても気にしない。もう、いいんだよ。

「ね、輝くん」
「!おひゃぁんっ」

予想以上の声が出て驚く。
でもまぁ驚かせたくてさ、手濡らして肩に乗せただけだけど。

「…狩屋くんなんか…きっ嫌いなんだから!!!」

え…?

「その、いつもそうやってっ…だから、えっと」
「ちょっ…輝くん?」

泣きそうなのは俺なのに、向こうの方が涙目だ。
それで気づいた。
輝くんは涙目で、ある物を握っていた。

「だからっ…さよならぁ!!!」

…泣いてたな。
うん、完全に泣いてた。


「てーんまくん?」
「ななな何か用?狩…」
「輝くんに何吹きこんだのかなぁぁぁぁ?」
「ひゃああああああああ?!」


結局、構って貰えなかった天馬くんが、からかってやろうと輝くんに嫌いって言わせるようにしたらしい。
まったくガキ…くだらない悪戯。


「でも、何で嘘ってわかったの?」
「ったりめーじゃん。輝くん、嘘つくのヘタクソ」
「むーちょっと見直したのにさぁ」
「うーそ。輝くんはクセがあるんだよ」
スケッチブックの角を、握り締めるクセがね。


「紫スケッチブックは悪戯の色、ってね」
「……うぎーっ」





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