Novel

 初恋スピルリナ

貴方を見つめる。
もう横に並ぶことは2度とないだろう貴方を。
背中すら見ることはできない貴方を。

「ありがとう」

それは俺の台詞。
実はもう泣きそうだ。

「ずっと好きだった」

過去形なのに何か意味があるのだろうか。
期待してもいいのだろうか。

「・・・ごめん」

それは何に対して?
俺?天馬?それともサッカー?


「すき・・・です」

結局弱虫なのは自分なのだ。
言いたいことの1つも言えず、1人になって初めて泣いた。
そっと漏らした言葉は誰にも届かず消えていく。

貴方は言うだけ言って逃げたんです。
ありがとうと好きとごめんの3つを残して、何処かへ消えてしまいました。
返したくても返せません。
ありがとうございますと俺も好きですとごめんなさいを伝えたいのに。


あの日のことがぐるぐる頭の中を回る。
ぐるぐると、何度も何度も。
後悔したって始まらないと言うけれど、なら俺は何をしたらいいんだ?
ぐるぐる回るあの日の出来事。
あれはきっと恋の始まり。
この心に名前をつけるのなら、俺はこうつけようか。



初恋スピルリナ

(ぐるぐる回るしょっぱい思い出)





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