Novel
傘無しチルドレン
部活がない放課後は、本当に暇だ。
雨ならドロドロになってでもサッカー出来るけど、雪となれば話は別。
ボールを蹴るどころか走るのもままならない。
俺ははぁーっと、白い溜息をついて傘を差さずに走り出した。
さくっさくっ
軽快な音が僕をさらに興奮させた。
さくっさくっ…ざくっ
あーあ、こおり踏んじゃった。
みんなとは家の方向が違うから、帰りはいつも1人だ。
1人は慣れてるし全然寂しくない。でもこうやって遊んでるから、周りの人から見たらちょっと変なのかもしれない。
…雪が降る中傘もろくに差さず、1人遊んでる僕は確かに変かも。嫌、かなり変だ。
なんだか急に可笑しくなって声を立てずに笑った。
結局雪はやまなくて、俺はすでにびしょ濡れだった。
コートは色が変わって意味を成さない。
ズボンの裾の方は真っ白になっていて、とにかく、もう、帰りたかった。
さくっ
ん?
さくっさくっ
楽しそうな足音が聞こえた。
ざくっ
あ、こおり踏んだ。
何気なく音のする方に向かったのがまずかった。
お互い雪に足をとられて、まともに前を見ていなかったのだ。
結果はそう、ご想像通り。
ドンっ
「痛ってて…だ、大丈夫ですか!すみません!!」
「っつ…こちらこそ…って」
「「狩屋くん!!」「輝くん!?」」
まさかの人物に出会ってしまった。
「狩屋くんも家、こっちの方なの?」
「え、ま、まぁ…いちお…」
「ほんと!一緒に帰らない?帰る友達いなくてさ…寂しかったんだよねー」
ほんとかよ。すげぇ楽しそうに雪踏んでたじゃん。
「狩屋くんも傘差してないんだね」
言われてみれば、輝くんも差してない。
鼻とほっぺ真っ赤にして、雪に足跡つけながら、ふんふん鼻歌歌う姿は、幼稚園児にも保育園児にも劣らない幼い姿だった。
「さしても濡れるだろ。…輝くんは雪、好き?」
「大好き!冷たくて、ふわっふわで、大好き!」
輝くんらしいっちゃらしい答え。
「雪合戦、やらない」
「ほんと!?やる!絶対やる!!」
「まぁ…どっちみち全身ビッショビショだしな」
「狩屋くん優しいから好き!」
「へっ!?好きぃ!?」
*
抹茶さんに捧げます…
輝マサの要素がいつのまにか消えました
あいかわらずのへっぽこですごく申し訳ないです
抹茶さんのみ、お持ち帰りOKです
なんとなくですが狩屋はねこ、輝ちゃんは犬っぽいと思います
つんけんマサキとしっぽふり輝ちゃん…
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