Novel

 01

春のそよ風が頬を撫でる。桜が舞散り、今日を祝う。
なびいた髪が顔にあたって、少しくすぐったい。


今日からここ「雷門中学校」に入学する俺、神童拓人は
入学式を終え、教室に向かっている途中である。
隣には偶然にも同じクラスになった幼馴染の霧野蘭丸と、趣味が同じ、席が前後という事で仲良くなった倉間典人がいる。
教室に帰り、担任になった若い新任女性の自己紹介をぼんやりと聞いた後、俺は皆と別れ1人音楽室にいた。

そして、誰もいないのを確認してからピアノを弾き始めた。
始めて数分たった時、コツ…コツ…とリズムを刻むように足音が聞こえてくる。
ガラッ…と突然開けられた扉が悲鳴をあげた。
目が合ってしまったその人は明らかに上級生であり、俺がいる事に驚きを隠せない様子だった。

「…先客か。」
「すすすすみません!今帰りますから」
紫の鮮やかな髪が風になびく。
背こそ大きいとは言えないが、雰囲気が上級生で、
たった1つか2つ違うだけなのにとても大人びて見えた。





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