Novel

 「ねぇ聞いてる?」

「剣城ー!!」
「松風…」
今日もだ。毎日毎日右手をぶんぶん振りながら、こっちへ走ってくるあいつ。
登下校中はずっとついてきやがる。
「今日はねーあのねー!」
聞いて欲しい事でもあるのだろうか。
しかし俺は軽く聞き流す…はっきり言って鬱陶しいのだ。
「でさ!その時先生がー………剣城聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
やっぱり携帯を出したのがマズかったのか、やけにあっさりとばれた。……チッ。
「携帯ばっかじゃなくて、俺を見てよ!!!」
一体なんなんだこいつは。
勝手についてきて勝手に喋って勝手に怒って…バカみてー。
「俺は…俺はぁ…こんなに剣城の事好きなのにぃ!!」
はぃ?
「ちょっとこっち来てよ!」
涙目の松風に手首を掴まれ、ぐんぐんと引っ張られて行く。
あまりに突然の出来事に頭は追いつかなかった。…状況を理解出来ない 。
しばらく歩くと(また)突然振り向いて、
「えと、…さっきは…ごめん。その、俺ばっかりワガママ言って…困らせちゃった。本当、ごめん。」
涙目でもじもじ、目は泳いで顔は真っ赤。さっきとは別人みたいだ。
「ばーか」好きなら好きってちゃんと言えよ?
そう囁くと、松風は背伸びをしながらちゅっと軽い口付けをした。






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