Novel

 初めましてのご挨拶

はじめまして。
君の名前はなーに?
ない。
じゃあいい。ってワケにはいかない。来ない?僕と
怖い。なんでアタシなの?


昨日聞いたばかりの曲を口ずさんでみる。
普段クラシックばかり聞いているせいか少し慣れないが、それでも何故か聞き入ってしまった曲だ。
可愛らしい、愛らしい、まるで幼い頃にもどったような、不思議な感じの曲。
教えてくれた隣の席の女子に、後でお礼を言っておこう。
「おはよう、神童。」
不意打ちの挨拶。もう慣れた事だ。
「霧野おはよう。」
いつだったかな。
初めて霧野に名前で呼ばれたの。
それはきっと、まだ3つか4つの頃だったかな。


はじめまして おなまえなあに?
……たくと…ぐすっ
おれはらんまる。なかないで?いっしょにあそぼ!
いや。
なんで?
なんでぼくなの?ほかにおともだちいっぱいいるよ。
たくとくんとあそびたかったの。ほら、あそぼ!
……うん。


「そっくり。」
クスッと心の中で小さく笑う。本当にそっくりだ。
「何が?」
「いや、なんでもない。」
泣き虫で人見知りで友達が居なかった俺に話しかけてくれたのは。
「霧野、いつもありがとな。」
「なんだよ急に、大丈夫か?……っておい!先行くなって!」



さぁ今日も、いつもと同じ君との時間がやってくる。






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