Novel

 雪色スケッチブック

最近、少し気になることがある。

「天馬くん!ちょっといい?」
「あれ?輝?さっき狩屋呼んでたけど・・・」
「あ、うん、大丈夫ー」

輝くんが、俺を、避けているような気がする。

「狩屋、すごい顔だぞ」
「あっれー?剣城くんどしたー?俺別に何ともー」
「鏡見ろよ。何ともないなんて言える顔じゃない」
「・・・バレた?」
「知らん」

普段顔に出ることはあまりないけど、にっぶい剣城くんがいうのならそうなんだろう。
バカになんてしてない。してないよ。
ただちょーっと本音が出たっていうか、決して剣城くんを・・・

キーンコーンカーンコーン

あ、やべ。もう帰らなきゃ。輝くん遅すぎ。今度こそ理由聞いてやる。

「ごめんなさいマサキくんっ遅れました!」
「いっいいよ別に・・・」

やっぱり面と向かって言えない。自己嫌悪。俺のバカ。


「マサキくん、怒ってる?」
「別に」
「そう・・・ならいいんだけど・・・」

まずい。今日は思ったより顔に出やすい日らしい。

「マサキくん、」
「へ?」

突然前に立ちふさがった泣きべその輝くん。
白いスケッチブックを目の前につきだした。

「ごめんなさい、僕、マサキくんに隠し事してるんです!!」

は?はぁ・・・?

「本当は、こんなことダメって、思ってるんだけど、マサキくん、ひぐっ・・・」

本格的に泣き出した。通学路のど真ん中で周りからガン見されてるんのにボロ泣きする輝くん可愛い・・・じゃなくてやめてくれ。俺が悪者じゃん。

「輝くん落ち着いて・・・別に隠し事してるのを怒ってるんじゃなくてね」
「そう・・・なの?」

まぁ実際さっきまで知らなかったし。

「俺は、輝くんが天馬くんと一緒にいるのに妬いてんの」
「焼く?」
「嫉妬してんの。わかる?」
「じゃ、じゃあ天馬くんと一緒にいるのやめればいいの?」

そ・う・く・る・か。

「別にいいけど、あんまり一緒にいるのはやめてね」
「うん!」

気づいたら雪が降っていた。
ちろちろと積もらなさそうな雪だが、ここらで見るのは珍しくてしばらくぽかんとしていた。

「マサキくんのポカン顔描いちゃった」
「え?!やめろよ!消して!」
「うーん・・・ま、いっか」

相変わらず輝くんの笑顔を見るとホッとする。
もう少し人物画を練習したら、輝くんの笑顔を描きたい。




「今度は剣城くんに頼んでみるよ!」
「そういう問題じゃないっつーの・・・」





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