ふれあって、とけあって、 (ページ1/2)
こたつは、素晴らしい。
「ね、ネジ。そう思わない?」
私がそう言うと、ネジは少し苦笑した。
今私は、ネジ宅に遊びに来ている。
寒い北風の中、頑張って歩いて、ようやく着いた彼の部屋。
その部屋の中央には、なんとこたつが置いてあったのだ。
「最近急に寒くなったからな。昨日出しておいた」
「さすが」
そんなに大きくないこたつを挟み、向かい合って座って。
「うーん、極楽」
「まだ死ぬなよ」
「ネジとだったらいいかもねー」
「全く……」
正座が苦しくなって、私は足を伸ばした。
と、
「あ、ごめん」
足の先が、ネジの足に触れた。
とくんと心臓が跳ねる。
なんだか、妙に気恥ずかしい。
伸ばした足を少し引っ込め、しばらくすると。
「!」
また、足がぶつかった。
ネジを見ると、飄々としながらもどこか楽しそうな顔をしている。
今のは、わざとだ。
だから、私も足を伸ばして彼の足に触った。
こたつの下で繰り広げられる、ささやかな攻防戦。
「ふふっ」
思わず笑み零れると、ネジは絡めていた足を離して、こたつから立ち上がった。
「忘れてた。何か飲むか?」
「お茶でいいよ」
「分かった」
少し待つと、後ろから湯呑みを持った手が出て来て、私の前に緑茶を置いた。
「ありがと」
「ん」
すると。
彼は私の真後ろに座った。
真後ろ、というか、既にくっついている。
どうみても、ネジに抱き締められている体制だ。
「えっと、」
「何だ?」
そのままネジは私の腰に腕を回し、「寒い」と言って、私を抱え込むように足をこたつに入れる。
足元はもちろん温かいが、ネジのお陰で背中とお腹も温かくなり、ついでに顔も熱くなった。
逃げようにも逃げられるような隙間はなく、それ以前に逃げる理由もなかったので。
「ネジ」
「なんだ?」
振り返って、少し強引な角度でキスをした。
虚を突かれたように軽く目を見開くネジ。
そんな彼にゆっくり寄り掛かる。
「……あったかいな」
「うん。あったかい」
とある冬の寒い日。
彼の家、こたつの中での出来事である。
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