意外と賢さ-1 (ページ1/11)
 bookmark?


上を向けば、真綿のような白い雲が空の中に浮かんでる。
木々の間の小道を行く名無子は身にまとった、雲と同じ真っ白な特攻服のポケットに手を突っ込み、なんとなく頭上を仰ぎながら、のろのろ歩みを進めていた。
道の上に気だるげな足音が響く。

あー、だっりぃ。
っつぅーか、家を早く出すぎじゃね、私?
こんじゃ、早く着きすぎだってぇーの。

空の頂点を過ぎた太陽は少々、西寄りの位置から地上を照らしている。
時刻は午後2時55分。
5分後の3時から、この道の先につながる原っぱの端っこにて、ある集会が始まる。
木の葉腐亞違亞利武頭(ファイアーリーブズ)の定例集会。
名無子の所属するヤンキーチームの集会だ。

あぁ、もうマジ、だっせぇ。
こっから野っぱらまで5分もかかんないじゃん?
そしたら、私、3時前に着いちゃうじゃんよ。
なに、それ、時間厳守ですか、品行方正ってやつですか。
ないわ、3分前行動とかホントないわ、本気でダサすぎだわ。

不良たる者、約束の時間を守るなんて礼節はあるまじき所業。
よりにもよって、この自分が、定例開始時刻の前に到着するようなカッコ悪いことはできるわけがない。
名無子は、有り得ねぇー、と大げさにのたまいながら、道の脇の木陰に身を寄せた。



(ページ1/11)
-1-
|
 back
select page/11

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -