任務に行こう! キバ編 (ページ1/14)
「ヒナちゃんはいいなぁ」
気持ちいいそよ風が吹き抜ける木陰で、私とヒナちゃんは膝の上にお弁当をひろげていた。
その箸を止めて、ヒナちゃんが私の方を向く。
「何が…いいの?」
首をちょっと傾げながら遠慮がちに聞いてくる。
どんな些細な事にでも真摯な姿勢を見せるヒナちゃんはホントにいつもかわいい。
私は卵焼きをパクッと口に放り込んで
「だってヒナちゃんは紅班だもん、キバくんと一緒でいいなぁ」
素直な気持ちを口にして、空を見上げた。
班が違う私はキバくんと一緒に任務に出られることはほとんどなくて。
ヒナちゃんのようにキバくんと同じチームで任務に出られる存在は喉から内臓が出ちゃうくらい滅茶苦茶うらやましい。
でも、内臓が出ちゃうのはグロイな…。
そりゃ、ちょっとグロイな……。
なんつっても食事中だからね、今。
自分の想像に卵焼きを吐き戻しそうになった私はヒナちゃんの言葉に本題を思い出した。
「そっか。名無子ちゃんはキバくんのこと…好きなんだもんね」
「うん。でも全然会ってないんだよおぉぉーーー」
「わ、私にできることがあったら何でも言ってね。…協力したいから」
協力したいから…。
力したいから…。
したいから…。
あぁ、なんて、なんていい子なんだ、ヒナちゃんッ!!
あまりの嬉しさに私にはヒナちゃんのセリフが木霊して聞こえた。
…いから…。
から…。
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