EMERGENCE-2 (ページ1/14)
外よりも1〜2度確実に気温の低い洞内を、ネジさんと私は奥へ奥へと走っていく。
進むにしたがって私たちの耳にも戦いの音が聞こえてきた。
だんだん大きくなるその音を追いかけていくと、今度は明るい光が見えてきた。
その光に照らされたネジさんの表情は思った以上に厳しくて、私の不安は容赦なく煽られる。
それでも今は行くしかない。
私たちは光の中に一気に飛び込んだ。
光のあふれる洞内に、体と体のぶつかる音が激しく響く。
目を向けるとリーさんが大男の忍と肉弾戦に陥っていた。
その横で地面に倒れているテンテンさんが目に映る。
「テンテンさん!!」
私はすぐさま駆けより、頸動脈に手を当ててテンテンさんの脈を確認した。
「大丈夫! まだ生きてる! すぐに治療を……!!」
テンテンさんと私を守るように敵の忍と対峙しているネジさんに叫んだ。
ネジさんの背中から冷静な声が返ってくる。
「よし。名無子はテンテンを連れて外に出ろ。安全な場所で治療を頼む。ここは俺とリーで片づけるから」
「ハイ」
「行け!」
ネジさんのその声と同時に、私はテンテンさんを抱きあげ走り出した。
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