君ニ捧グ-1 (ページ7/9)
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「どうしたの、こんな夜中に?」
「お前こそ」
「私? 私は任務の帰り。」
「任務の帰りって、お前んち、ここと全然ちがう方向じゃねぇか」
「ちょっと回り道したの。月の光に誘われてってヤツよ」

ロマンチックでしょ? と私が笑うと、

「なんだよ、それ」

と言って、キバが苦笑して返した。

「危ないぜ? こんな時間に女一人でウロウロしてっと」
「大丈夫。もうキバに会えたから」

私は目の前にある石碑に視線を向けた。
風がそよいで、辺りには月明かりに照らされた夜の静寂が流れる。
その中で、ふっとキバが弱々しい声を漏らした。

「なんか眠れなくってさ。月がキレイだから、散歩に出たんだよ」

寂しさがこぼれ落ちそうなその響きに、あぁ、マリアに会いに来たんだって思い知らされる。

眠れなくて、散歩に出て、そしてキバが辿り着くのはやっぱりココなんだ。
マリアのいるこの場所。

そのことに震えそうになる自分の胸を、私は必死に押さえながら尋ねた。



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