君ニ捧グ-1 (ページ5/9)
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ずっとアナタの笑顔が好きだった。
キバが笑うと私まで、コップの中ではじけるソーダ水の気泡みたいにシュワシュワした元気な力をもらえて、なんか頑張ろうって思えちゃう。
そんなキバの笑顔に私は何度も助けられて、だんだん好きになっていった。
でも、キバはマリアと付き合い始めた。
かわいくって、やさしくって、そんなマリアと付き合い始めたキバはすごく幸せそうで、ほんとに楽しそうに笑ってた。
それを見たとき思ったんだ。
あぁ、もうキバのことはあきらめようって。
容姿も性格もなんでもそろってるマリアが羨ましくてたまらなかった。
キバの気持ちは、笑顔は、すべマリアに向けられていて、そのことが狂いそうなほど切なくてたまらなかった。
だけど、本当に幸せそうにキバが笑うから、私は私の思いが成就するよりも、アナタが幸せでいられることを選んだんだ。
好きな人が幸せでいることが一番の願い。
だから自分の気持ちは消してしまおうって。
そう思ったんだ。
なのに、キバ達の幸せは数ヶ月しか続かなかった。
マリアは任務先で敵の手にかかり、殉職してしまった。
この世にキバと私の半端な想いを残して。
彼女への不完全燃焼な愛情と、キバへの消しきれない感情が、ここにまだ置き去りにされている。

キバ……。

私はもう一度、心の中で呟いた。
月が目の前の道を銀色に照らし出している。
その道を、私の足が訳もなく進み出して、私はキバの後を追いかけ始めていた。





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