君ニ捧グ-1 (ページ3/9)
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他の人はキバの空元気な笑いに誤魔化されても、そんなの私には通じないよ。
私はずっとアナタの笑顔を見てきたんだから。

ふいに黙り込んだ私に、キバがどうした? って目で問いかけてきて、私はいそいで微笑んでみせた。

「しばらくは里でのんびりできるの?」
「いや、任務があればすぐに出ようと思ってる」
「また長期の?」
「まぁな」
「ほんと忙しい人。もっとゆっくりしてればいいのに」

私が呆れたように言うと、

「忙しい方が性に合ってんだよ」

そう言って、キバはやっぱり切なげに笑った。

ウソつき。
忙しい方が性に合ってるなんて、そんなのウソだよ。

キバはただつらいだけ。
つらいから忙しくしてるだけ。
何もやることがないと、死んでしまった彼女のことが限りなく思い出されてしまうから。
だから長期任務ばっかり選んでは、次から次へとろくな休暇も取らずに出かけてしまう。
そんなにもこの人はいまだに彼女を愛し続けてる。
三年前に亡くなった彼女のことを。
ずっと思い続けてる。
誰も勝てないキバの彼女。
マリア――。





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