君ニ捧グ-1 (ページ2/9)
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「久しぶりだね。いつ帰ってきたの?」
「ついさっき」
「そう」

私は彼らの近くによると、赤丸の頭をワシャワシャと撫でてやった。
キバは三ヶ月越しの長期任務に出ていて、会うのは久しぶりだ。
またちょっとたくましさを増した気がして、私はキバの姿をまぶしく感じた。
そんな思いが顔に出たのか、キバが首を傾げて私を見る。

「何、嬉しそうな顔してんだ?」
「え? ううん。キバが男っぽくなったなぁーと思って」

私が思いきり冗談めかしてそう告げると、

「何、言ってんだよ」

キバが笑った。
いつものように。
寂しそうに。
その笑顔に私の胸がグッと詰まる。
前はこんな笑顔じゃなかった。
もっと元気で、すごく明るくて、いつも彼女を照らしてたのに。
太陽が月を照らして輝かせるように、キバもその太陽みたいな笑顔で彼女をいつも明るくキラキラと光らせていた。
そんな幸せそうなキバの笑顔が、私はすごく好きだった。
すごくすごく好きだったのに。
キバの笑顔は変わってしまった。
最愛の彼女が任務で命を落としたあの日から。
キバは笑わなくなった。



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