reach for you-2 (ページ13/16)
そんな私を見つめたまま、シカマルは
「何言ったって眼ェ開けなかったお前が、今ちゃんと眼ェ開けて俺を見てんだよ。いつもと同じじゃねぇーよ」
そう言って、右手を伸ばし、私の頬に優しく触れた。
シカマルの指の、手の感触に、
まただ。
また、あの気持ち。
私は魔法をかけられたみたいなあの気持ちに支配されて、心臓に羽が生えてしまったかのように胸があわただしく羽ばたきする。
シカマルの眼差しに吸い込まれたまま、私は何かを言おうと思って、その言葉を探して探して、やっとの思いで口を開こうとした。
そのとき、
「「名無子ーー!! シカマルーー!!」」
遠くから名前を呼ぶ声がした。
元気な女の子二人の声はすぐにイノとサクラのものだと気づく。
その声に、シカマルが一気に困ったようなしかめっ面をして私を見つめた。
そして、ため息を吐き出すように呟いた。
「続きはまた今度な」
シカマルは声のした方をチラッと見ると、握っていた私の手を離し、めんどくせぇーって顔で上体を起こしだした。
私はまだバクバクしている心拍を握りしめて、それでも『続きはまた今度な』って言った時のシカマルの表情がなんだかすごく情けなくてかわいくて、思わずクスッと笑いながら起きあがる。
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