reach for you-2 (ページ12/16)
「いーよ、ここで」
「そんじゃあ、いつもと同じだよ? いいの?」
草原で一緒にいるだけなら、いつもと変わらない。
それだとシカマルはつまらないんじゃないかと思って尋ねると、
「同じじゃねぇーよ」
シカマルは真上に広がる空をチラリと見上げて目を閉じた。
「……?」
言ってる意味がよくわからなくて、私もコロンとシカマルの方を向いて横になった。
シカマルの端正な横顔を見てから、私もそっと目を閉じる。
あ……。
目を閉じて、私は驚いた。
今までとは全く違った気持ちで横たわる自分がいる。
寂しいとか不安とか、そんなんじゃなくて、私の胸の中はすごくホッとしている。
風が運ぶシカマルの香りも、隣にいるシカマルの気配も、何一つ変わらないのに、私の気持ちだけ以前と全く変わってひどく安心していた。
母親の羊水の中ってこんな感じなんだろうか。
不思議な安心感と共に目を閉じていると、スッと自分の手が掴まれた。
パッと目を開けると、いつのまにかシカマルがこちらに体を向けて、私の手を左手で掴んでいる。
シカマルの穏やかな眼差しに覗き込まれて、私の心臓はバクンッと勢いよく全身に血液を送り出した。
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