reach for you-2 (ページ9/16)
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気が付けば、水は消えていた。
滝壺をひっくり返したような量と勢いの水が消え去って、辺りは静寂を取り戻している。
その水滴のしたたり落ちる、水浸しの地面のまん中で、私の体はシカマルに抱きしめられていた。
右足を木に封じられたまま、それでも私を激しい水の流れから守るように、シカマルがその胸に、その腕で、私を捕まえていてくれた。

シカマル……こんな体で私のこと――。

シカマルの力強い優しさに、私の胸がいっぱいになる。
シカマルの顔が見たくて私が身じろぎすると、シカマルが腕の力を緩めてくれた。
腕の中からシカマルを見上げる。
その私の顔を見下ろして、

「二人とも助かったみてぇだぜ?」

シカマルはビショ濡れの姿でそう言うと、もう一度ぎゅっと私を抱きしめた。

シカマル……。
シカマル……ありがと。

ホッとして体をシカマルに預けた私の遙か上から、突然声が降ってきた。

「まーったく、二人がかりでこんなの一匹倒せなくてどーすんだい?」

二人、体を離すと、声のする方を振り仰いだ。
その目に、

「「先輩……」」

あきれ顔の先輩の姿が映った。
樹上で、二人の敵を両脇に抱え、こちらを見下ろしている。



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