reach for you-2 (ページ6/16)
「ずっと気になってたんだよ!」
周りを炎の壁で囲まれた地面に足を踏ん張りながら、私も負けじと大声で答える。
「何が?!」
それに対して、漂う熱風の中を、シカマルの怒鳴るような声が一際大きく返ってきた。
「お前のことに決まってんだろーが!!」
え……、私?
驚くあまり手の力が抜けて、作業がおろそかになる。
それをすかさずシカマルが注意する。
「ホラ、ちゃんと力入れろよ。俺を助けてくれんだろ?」
「あ、うん。」
ごめん、と呟き、改めて力を入れ直すと、その姿を確認して、シカマルが話し始めた。
「草原で体縮めて寝てるとき、お前、瀕死のウサギみてぇなんだよ。何に傷ついてんだか知んねぇーけど、寂しくって死んじまいそーに見えんだよ。そんな奴、ほっとけるわけねぇーだろ。心配だから気にして、気にかけて。そしたら、いつの間にか気になってたんだよ。気になって気になって、俺がそばにいてやんなきゃ、支えてやんなきゃって、そんなこと思うくらい、俺はお前を好きになってたんだよ!」
気づかぬうちに手から力が抜け落ちて、私はシカマルを見つめていた。
周りの炎なんて関係なかった。
焼け付く自分の肌なんてどうでもよかった。
私はシカマルに魔法をかけられたみたいな気分だった。
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