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「名無子、もうお前、逃げろ」
「――」

思わず、シカマルの方を見た。
諦めたような落ち着き方で、シカマルが言葉を続ける。

「このままじゃ、二人とも焼け死んじまうよ。俺のことはいいから……」
「よくないよ!」

私はシカマルの言葉を遮って叫んだ。

「そんなの、ちっともよくないよ! そんなふうに言わないでよ! だって、いつだってシカマルは私のこと助けてくれようとしたじゃない。さっきだって私のことかばって、こんなふうに木の下敷きになって。それだけじゃないよ。いつだって、たくさん助けてくれたんだもの。私だって助けたいよ。シカマルの力になりたいよ」

私は閉じてばかりいた眼を開いて、しっかりシカマルの顔を見た。

「私にもあなたに手を差しださせてよ」

いつも手を差し伸べてもらってるばっかりで。
でも、こんな時くらい、どうか。
今度は私が手を伸ばすから。
シカマルを助けるために一緒にいるよ。
シカマルを一人になんか絶対しないから。
だから、どうか。
私の手をつかんで、シカマル。



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