reach for you-2 (ページ4/16)
「名無子、もうお前、逃げろ」
「――」
思わず、シカマルの方を見た。
諦めたような落ち着き方で、シカマルが言葉を続ける。
「このままじゃ、二人とも焼け死んじまうよ。俺のことはいいから……」
「よくないよ!」
私はシカマルの言葉を遮って叫んだ。
「そんなの、ちっともよくないよ! そんなふうに言わないでよ! だって、いつだってシカマルは私のこと助けてくれようとしたじゃない。さっきだって私のことかばって、こんなふうに木の下敷きになって。それだけじゃないよ。いつだって、たくさん助けてくれたんだもの。私だって助けたいよ。シカマルの力になりたいよ」
私は閉じてばかりいた眼を開いて、しっかりシカマルの顔を見た。
「私にもあなたに手を差しださせてよ」
いつも手を差し伸べてもらってるばっかりで。
でも、こんな時くらい、どうか。
今度は私が手を伸ばすから。
シカマルを助けるために一緒にいるよ。
シカマルを一人になんか絶対しないから。
だから、どうか。
私の手をつかんで、シカマル。
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