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シカマル……。

「シカマルッーー!!」

弾かれるように、私はあわてて駆けよって、シカマルのそばにひざまずいた。

「シカマル? シカマル?!」

私の気弱な声に、

「ダッセェー、俺。うまくよけるつもりだったんだけどな」

シカマルが自分の失態をバカにするように顔をしかめた。

「シカマル……」

シカマルの右足の膝下部分が倒れてきた木と地面の間に挟まれてしまっている。

「シカマル…シカマル……」

私は頭の中が真っ白になって、シカマルの名前を呼ぶことしかできなかった。
それでもただ一つ理解できることがある。

シカマルは私を助けようとしてくれたんだ――。
私の身代わりになって……。

自分の胸が苦しくなる。
苦しくて苦しくて、私は必死にシカマルを押さえつける倒木を動かそうとした。
そのとき、私の背後で身の毛のよだつようなおぞましい気配が発せられた。
ハッと振り向いた私の目に、木の上からこちらを見ている男の姿が映る。
それと同時に粘度の高い無機質な香りが私の鼻を突いた。



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