reach for you-1 (ページ6/12)
 bookmark?


シカマルを前に、二人で林の中を疾走する。
前方を行く男は相変わらず気色悪い殺気を放っていて、鳥肌が立ちそうになる。
それを無理矢理抑え込んで、私は樹上を枝から枝へと跳んで行った。
かなり素早い敵になかなか追いつけず、危うく見失いそうになりながら、それをシカマルが相手の進路を予測しているかのようにうまく追いかけていく。
私はそのシカマルの背中を追いかけていった。
周りの景色は緑を深め、水の流れる音が聞こえる。
どこか近くに川があるらしい。
そんな中を進みながら、時々、シカマルの意識が後ろに向けられるのがわかった。
振り向きこそしないが、私に手を伸ばすように、大丈夫か? ついて来てるか? って、私のことを心配してくれている。

シカマル。
そんなに心配しなくていいのに。
ちゃんとついていけてるよ?

そんな思いで前を行くシカマルを見つめた時、シカマルがフッと静止した。

「……?」

その横に私も並んでかがみ込む。
シカマルが私にボソッと呟いた。

「ヤッベェ。見失った」
「え?」

苦い顔で前を睨みつけるシカマルの視線をたぐってみれば、確かに敵の姿が消えている。
さっきまで気持ち悪いほどまとわりついていた殺気も、見事なまでに消え失せていた。
私たちは素早く辺りに目を走らせる。



(ページ6/12)
-6-
|
 back
select page/12

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -