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何してるって言われると困る。
ただ何となく。
こうしていると気が紛れるから。
不安な気持ちが紛れるから。
自分の不安な気持ち。
一人で不安な自分の気持ち――。

その言葉に、私の脳裏に日常の光景が映し出される。
同期のイノやサクラたちと遊んでる自分。
他のみんなと仲良くやってる自分。
別に誰と仲が悪いわけじゃない。
でも、なんかどっかで寂しいんだ。
みんなに溶け込み切れてない気がして、私なんか消えてしまっても誰も気にしないんじゃないかって。
いつだってそんな変な孤独感に埋もれそうになって。
ここでこんな風にしてると、その思いを紛らわせられるから。
一人で不安な気持ちが草と一緒に風に揺られて流れていくようで、気が紛れるから。

だから、それで――。

心のうちでそう説明したところで、シカマルに聞こえるわけもなくて、眼さえ開けない私に向かってシカマルが

「そんなの、言いたくねぇーか」

ちょっと悔しそうに呟くと、んじゃ、明日任務でな、と言って立ち上がった。
立ち去る足音が草の間から聞こえてくる。
だんだんとシカマルの匂いが遠ざかって、私はまた一人、草の中にうずくまった。





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