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草原のまん中で、私は体を丸めて横たわっていた。
眼を閉じて。
体の右半身を下にして。
羊水の中にいるみたいに横たわっていた。
吹き抜ける風が草を揺らし、顔にあたる。
私は自分の前から吹いてくる風を感じながら、そのまま消えてしまうことを祈るかのように眼を閉じていた。
カサッと人の気配がした。
いつものように私の前に誰かが座る。
目を開けなくても誰だかわかる。
風がシカマルの匂いを運んでくる。
しばらく続いた静寂の後、私の頭上から、ほんの少しわかるかわかんない程度の気遣いを含んだ声が降ってきた。

「なぁー。寝てんのかよ、名無子?」
「寝てないよ」

そう言って目を開け、横になったまま見上げると、シカマルは私の前で体の後ろに手をついて、足を放り出すように座っていた。
顔をこちらに向け、私を見下ろしている。
その目に向かって、私は尋ねた。

「なぁに?」

私がここに寝ころんでいる時には、毎回毎回シカマルがやってくる。
用があるんだかないんだか、ここに来て座っていく。
一人で勝手に任務の話をしたり、将棋の話をしたり、本の話をしたり。
そんなことをしながら、どうやら彼は空を眺めているらしい。
それに対して私は、眼をつむったまま、気が向けば相づちを打ち、面倒臭ければただ聞き流している。



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