EMERGENCE-2 (ページ11/14)
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「ったく、きたねぇーぞ、名無子。」
「……?」
「なんて顔しやがる。いつも元気ハツラツ憎まれ口叩いてるクセに。自慢じゃねぇーけどなぁ、俺はお前のそーゆー顔に弱ェんだよ。今朝も今もそんなしぼんだ顔して俺を見るんじゃねぇよ。抱きしめんぞ、バカッ」

柄にもなく照れ顔で精一杯虚勢を張るシカマルに、私の思いが溢れまくる。

あぁ、もうシカマル。
この人は――。

私の体が勝手に動いて、私はカシッとシカマルに抱きついた。

「シカマル――」
「何だよ、名無子」

不機嫌そうに答えるくせに、シカマルはその腕でしっかり私を抱きしめてくれた。
今朝はあんなに男らしい顔だったのに、今はその影もないほどに恥ずかしがっている。
私はそんなシカマルがすごく好きだって思う。
カッコよすぎないシカマルがすごくすごく大好きで。
私は彼のゴツゴツした体にさらにきゅうっとしがみついた。

「オイオイ、俺のベストで顔拭くんじゃねぇぞ。汚れんだろ」
「うん、わかってる。汚さないってば」

私はシカマルに抱きついたままもう一度、汚さないってば、と呟いた。

……。
汚さない……?

そこでハタッと気がついた。
気がついてしまった。

し、しまったあぁぁーー!
汚しちゃった、汚しちゃったよ、私!
あの女ァ、どうしてくれる、この額当てえぇぇ!!



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