EMERGENCE-2 (ページ10/14)
「任務、うまくいって良かったな」
「え? ……なんで、知ってるの……」
「さっき任務の報告ついでに綱手に聞いてきた。まぁ、そんなん聞かなくても……」
シカマルがクルリと私を振り向いた。
「お前のスッキリしたその顔見ればわかるけどな」
ツカツカツカと私の前まで近寄ってくると、シカマルは私の顔を覗き込んで
「それにしても派手に汚したなぁ。泥だらけだぞ、お前」
クッと笑って、右手で私の頬に付いている泥をそっと落としてくれた。
「よくがんばったじゃねぇか」
あ――シカ……マル……。
夢、みたい。
でも。
こんなに優しくしてもらっていいの、私?
だって、弱小で、根性なしで、私はシカマルがいなかったらなんにもできなかったじゃない。
私、シカマルに誉めてもらう資格なんてないんだよ……。
シカマルのまなざしが優しすぎて、私は視線をそらせないでいた。
シカマルが支えてくれたから。
情けない私をシカマルが支えていてくれたから。
「がんばれたのは全部シカマルのおかげだよ。……ありがとう、シカマル」
弱々しく、それでも素直にお礼を言った私の顔をしばらく見つめると、シカマルは急に頭をガガッと掻いて上目遣いに上空を見た。
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