EMERGENCE-2 (ページ7/14)
木の葉の里の大門に寄りかかって、里の外に続く道をシカマルが無表情に眺めている。
近くにはチョウジの姿があった。
こちらは人待ち顔で里の町中に目を向けている。
門外の林の中で、羽化を終えた一匹の蝶が自分の抜け出た蛹の上でその綺麗な羽を乾かしていた。
もうだいぶ乾いているらしい。
すでに羽は青い光沢を放っている。
蝶はフルッと羽を震わせて羽ばたきを始めると蛹の上から飛び立った。
慣れない飛び方で林を抜け、大門の方へと近づいていく。
そして、シカマルの目の前をスゥッと通り過ぎた。
シカマルの眼が蝶の姿を追いかける。
やがて、その青い綺麗な飛翔を見送ったシカマルは、一人、顔をうつむかせ、フッと満足そうな笑みを漏らした。
「シカマルー、チョウジー! おっ待たぁーー!!」
街路の方から元気な声が響いて、イノが手を振りながら走ってきた。
「イノ、遅いよ」
「ごめん、ごめん」
チョウジの言葉にも明るく謝っている。
「さってと」
ずっと黙り込んでいたシカマルが機嫌良く口を開いた。
「俺らも行くとしますか」
そう言って、もう見えない後ろ姿を追うように、蝶の飛び去った空へと目を向けた。
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