意外と賢さ-3 (ページ10/11)
「返事」
何も言わない名無子をまっすぐ見据え、シカマルが呟いた。
「嫌なら別にそう言ってくれて構わねぇ」
「わわわわわ、わ、私は……!!」
名無子が咳き込むように口を開く。
「あ、会ってやっても、いぃ……ぞ」
しりすぼみになる声を聞いて、シカマルがおかしそうに笑った。
初めて見たシカマルの穏やかな笑みに、名無子の胸がドキンと高鳴る。
正直、カッコいいだなんて思いながら、その顔を見つめていると、シカマルがパンツのポケットに手を突っ込み、今度は挑戦的に片方の口角をあげた。
「じゃあ、会ってやってくれよ」
軽口を返せるほどの余裕もなく、名無子はただ、うむ……と頷くだけにとどまった。
それでもきっとバレてるんだろう。
シカマルの賢い頭には、名無子の気持ちくらい、軽く見すかせているに決まってる。
私も、お前に、また会いたい――。
シカマルが満足そうに空を見上げ、大きく大きく伸びをした。
end.
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