意外と賢さ-3 (ページ9/11)
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シカマルが右の手のひらを首筋にあてがい、名無子の姿を視界からわざとはずす。
その様子から、おそらくシカマルが照れているのではないかと想像されたが、今の名無子にはそこに食いつく余裕はなかった。

って、ててて、てかッ!!

『……悪くねぇ』

頭の中をさっきのシカマルの声がフラッシュバックして、名無子の体がカッと熱を帯びた。

ちょっ……悪くないって、悪くないって、悪くないってぇぇえーー!!

思わず、視線を地面に落とし、右足なんかはつま先で建物の床をザリザリと擦りだす始末だ。
どちらもが言うべき言葉を探して、黙り込み、しばらく沈黙が流れる。
それを先に破ったのはシカマルだった。

「だから、その、なんだ……」

一生懸命、言葉に迷いながら、シカマルが相変わらず、目を合わせずに告げる。

「また会おう」

ついっとシカマルが視線をあげて名無子を見る。
その切れ長のキレイな瞳にも似た、スッキリした風が一陣通り過ぎ、名無子の紫の髪を揺らした。



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