意外と賢さ-3 (ページ4/11)
だてに総長を張ってはいない。
そのまま勢いづけて名無子は片っぱしから砂の奴らをのしていった。
名無子の鬼神さながらの姿を前に、さっきまでニヤニヤ笑いを浮かべていた砂の連中が青ざめはじめる。
「つ、強ぇー!!」
「背中に赤ん坊おぶってんじゃねぇーのかよ?!」
うろたえた声で誰かが言うと、他の奴が慌ただしく叫んだ。
「一人ずつ攻めても無理だ!! 一斉に飛びかかるぞ!!」
直後にかかった号令で、名無子のまわりを取り巻いていた男どもが大勢でひと塊りに飛びかかる。
名無子はそれを木刀一本で次々とさばいていくが、ひとり、背後という死角から仕掛けてくる奴がいた。
「くらえぇぇーー!!」
しまった――!!
正面、左右からの攻撃が激しいばかりに、後ろへの注意が削がれていた。
対面から突っ込んでくる男のナイフを蹴りあげると同時、名無子の背後には既に金属バットが打ちおろされている。
赤ん坊がッ――!!
名無子が無理やり身をよじった。
赤ん坊の頭にバットが直撃しないようにするためだ。
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