意外と賢さ-2 (ページ7/9)
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家では子連れで帰ってきた娘に母親が驚く前に、「友達の子供を預かってきた」と言い訳し、ついでに「明日ちょっと面倒見てくんない?」と聞いてみるものの、母親には「仕事で無理」とあっさり切り捨てられた。
若かりし頃、名無子と同様、レディースヘッドをやっていた母は、キレるととにかく恐ろしい。
腐亞違亞利武頭八代目総長である名無子でもこの母親には勝てないと思わせるキレっぷりなのだ。
これ以上ねばったところで無理なのは目に見えているし、それより何より機嫌を損ねでもしたら大変なことになる。
名無子は不満を飲み込み、スゴスゴと自室に向かった。
部屋に入り、自分のベッドに子供をおろす。
子供はいい気にもすっかり寝入っていて、名無子はため息をつきながら布団に寝かせてやった。
と、ちょうどそこに部屋の窓に何か当たる音がした。
二階の自室のカーテンを引いて外を見れば、下の道路にチームの伝令係だろう、見知った仲間の顔がある。
窓を開けると、下でソイツがピッと背筋を伸ばし、小声で話し出した。

「報告しまーす!!」

伝えてきたのは、もちろん明日の燦土跋化図との対決についてだ。
名無子は仲間の報告を聞きつつ、心の中でもう一度ため息をついた。

そうなんだよ。
明日は私だって、大仕事なんだよ――。

背後ですやすや眠っている男の子の存在が名無子に大きくのしかかる気がした。





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