意外と賢さ-2 (ページ5/9)
「な、なんだよ」
噛みつくように言い放つ名無子を、シカマルは少しだけ首を傾げて見つめた。
「お前、面倒見いいな」
は?
面倒見?
言われた言葉が褒め言葉とはとっさに理解できず、眉間にしわを寄せてしまう。
が、次の瞬間、我に返った。
「な、な、、な、な、なに言ってッ……!!」
「だってよ、さっきから、ガキのために買い物に走ったり、食いづらそうにしてれば手伝ってやったりしてんじねぇーか」
「いや、それは、そのッ……」
正直、褒められることなど滅多にないものだから、名無子としては赤面の至りだ。
照れと同時にムキに反論していることもあり、名無子の顔が赤く染まる。
そんな名無子をシカマルは涼しげな表情で見つめた。
「とにかく、お前、面倒見がいいよ。意外に」
「だから、そんな……え?」
言葉の途中で気がついた。
いやいやいやいや、ってゆーか……。
「『意外に』は余計だ、キサマァァアッーー!!」
勢いよく立ちあがった名無子の叫び声が林の中にこだましていった。
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