意外と賢さ-2 (ページ4/9)
「ほら、腹減ってんなら、コレ食え。それともお前、漏らしたか?」
男の子が差し出されたパンを受け取ってパクリと噛みつく。
モグモグと食べ始めた。
「お、腹空いてただけだな。よかった」
濡らした頬もそのままに男の子がパンを食べる姿を見つめ、名無子が満足そうに目を細めた。
「バナナも食うか、ガキ?」
手にしていたバナナを差し出せば、男の子はパンとバナナを交換しようと手を出した。
パンを受け取り、名無子は男の子の小さな手に黄色いバナナを握らせた。
しかし、皮を剥いていないため、男の子はその皮剥き手間取り、食べられずにいる。
「あぁ、悪い。皮が邪魔だよな」
名無子はなんの躊躇もなく男の子の前でしゃがみ込み、するりと皮を剥いてやった。
「さぁ、これで食べられんだろ」
かいがいしく世話を焼く名無子の姿をシカマルは脇に立ち、目を細めて眺めていた。
立ち去るのも忘れて、ついつい口を開く。
「なぁー、お前」
名無子が、ん? と視線をあげれば、腰に手を置いたシカマルが見下ろしてくる。
鋭い目つきは変わらないが、それでもどこか温かみを帯びたまなざしに、名無子の胸がドクンと跳ねた。
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