意外と賢さ-2 (ページ3/9)
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戻ってこないんじゃ、と思うも束の間、意外にも名無子は急いで戻ってきた。
右手に買い物袋、左手に紙おむつのパックをぶらさげ、懸命にこちらに走ってくる。
その姿に思わず、シカマルは呟いてしまった。

「意外に真面目なんだな……」

シカマルのそばまでやってきた名無子が肩で息をしながら、聞き返す。

「え?」
「いや。戻ってきたからさ。真面目とこあるじゃねぇーかと思ってよ。そのままてっきり逃げちまうのかと思ったんだよ」

その言葉に名無子が目を見開いた。

っていうか、シマッタァァアーーーー!!
コイツの言う通り逃げればよかったぁぁあ!!

そんな手、思いつけなかった自分がなんとも悔やまれる。
しかし、ここで落胆していては相手に足元を見られるとばかりに名無子は強がってみせた。

「ば、バカなこと言うんじゃねぇーよ!! 私が、んなセコイことするか!!」

ふぅーん、とシカマルのやけに鋭い瞳で見つめられ、名無子の心臓は早鐘を打った。
自分の嘘を見通されている気になったからか、もしくは、シカマルの、よく見るとひどく整った顔立ちにドキリとしてしまったからか。
どちらともわからないまま、とにかく名無子は泳ぎそうになる視線を誤魔化すように、足元の子供に目を向けた。
男の子は盛大な鳴き声はあげていないものの、やはりまだヒクヒクとぐずるように泣いていて、名無子は急いで手にしていた買いもの袋に手を突っ込んだ。
中からパンとバナナを出してやる。



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