意外と賢さ-2 (ページ2/9)
シカマルが目を細めて名無子の顔を眺めた。
「へぇ、拾った、ね。ま、それにしたって、お前が先に拾ったんだ。一人で勝手に面倒みろよ」
今度こそ、その場をあとにしようとシカマルは足を踏み出す。
と、その瞬間、突然、足元から大きな泣き声があがった。
男の子が泣き出したのだ。
その声にはさすがにシカマルも慌てて目を瞠った。
「オ、オオオイ、どうしたんだ、このガキ?! 突然、泣きだしたぞ?!」
どもりながら、名無子の顔を振り仰ぐ。
「わっかんねぇーよ!! あ、アレじゃねぇか、腹減ったとか、おしっこしたとか?!」
「あぁ〜、そうだな、それだろ、それ」
「わかった、じゃ、ちょっと私、行ってくるわ!!」
「え?!」
「飯とおむつ買ってくんだよ!!」
言うなり、名無子が駆けだした。
白い特攻服の裾を閃かせ、名無子は小道を里の商店街方面へ颯爽と駆けていく。
「おい、待てって!!」
突然の行動に後れを取ったシカマルは、その背に大きく呼びかけた。
しかし、名無子はすでにかなりの距離を走り、戻ってくる様子はなさそうだ。
「クッソ!!」
再び名無子に置いてきぼりをくらったシカマルは、足元でわんわん泣いてる子供に目を向ける。
はぁーっと盛大にため息ついて、額に手を当てた。
「アイツ、今度こそ、ばっくれる気なんじゃねぇーの……?」
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