意外と賢さ-1 (ページ10/11)
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シカマルに挨拶してかかる部下どもの姿に軽く涙が出そうになる。
シカマルのほうも異様な光景に飲み込まれているのか、早々に退散したいはずが、いまだに逃げるタイミングをのがし、不良どもが送る会釈をなんとも言えない表情で首を掻き掻き、受けている。

「それにしても、すっげぇー、総長。俺、全然気づかなかったッスよぉ!!」
「いつ、産んだんスか?!」
「総長、ちっとも体型変わんなかったッスよね!! や〜見事にだまされたわぁ〜、オレ!!」

いや、もう、だから、だましてねぇーんだよ、ボケェ!!
子供産んでないからッ!!
ずっとお前らと一緒に喧嘩に明け暮れてたろーが!!
腹に子供がいた時期なんて、私、ありませんッ!!

まわりのあまりの誤解っぷりに血の気が失せてくる。
互いの肩をたたき合い、大盛り上がりしている連中を前に、これはまたどう収拾したものか、と軽く目頭を押さえた。
背中には嫌な汗が流れ、頭は途方に暮れなずむ。
そんな名無子に、実にめでたく顔をニヤケさせ、話しかけてくるヤツがいた。

「ってか、やっぱ、総長も……やるときゃ、やるんスね、ヒューヒュー!!」
「ヒューヒュー!!」
「ヒュー!!」

ヒューヒューってなんだぁぁあーー!!
今、ヒューヒュー言ったヤツ、立ちあがれぇぇえッ!!
――ぶっ殺す!!

動揺、呆然、怒りを経て、いいかげん明らかな殺意が芽生えたとき、今度は自分のそばに立つ小さな生き物が声をあげた。



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